
109分 2024年 アメリカ=A24、イギリス=エンターテインメント・フィルム・ディストリビューターズ PG12
日本配給:ハピネット・ファントムスタジオ
アメリカ国家の分断が極限にまで進み、全土が内戦(シビル・ウォー)状態と化して、ついには反乱軍が大統領を暗殺しようとワシントンのホワイトハウスに武力突入を敢行する。
と、まあ、現実のトランプ政権下における社会を反映し、近未来を描いたポリティカル・フィクションとして注目を集め、日米で大ヒットした作品。
政府と分離独立を唱える州との対立はそれほど詳しく説明されないまま、ニューヨークが空爆を受けているシーンからスタート。
反乱軍は19の州で構成されており、テキサスとカリフォルニアが手を組んで政府と紛争を繰り広げているという設定なのだが、内情や背景などは最後までよくわからない。
序盤は派手な見せ場もなく、ニューヨークで取材をしている女性写真家(キルスティン・ダンスト)、ロイターの記者(ヴァグネル・モウラ)、NYタイムズの記者(スティーヴン・ヘンダーソン)、写真家志望の女性(ケイリー・スピーニー)が、大統領をインタビューしようと話し合い、1台の車でワシントンを目指すところからメインストーリーがスタート。
彼らの行く先々では、かつて平和だっただろう街がことごとく戦場と化し、血みどろの死体が路上に転がり、トラックの荷台に積まれている。
アメリカ人なら、自分たちの国がかつてのベトナム、アフガニスタン、イラク、現在のガザのようになっていることに衝撃を受けるのかもしれないが、日本人にはピンと来ない向きも多いのではないか。
激しい戦闘場面のバックに何度もポップミュージックが流れるあたりなど、エンターテインメントとして観られるようにという意図(というより商売上の計算か)も感じられる。
そんなソフトタッチ(というよりあざとさか)の演出の積み重ねのため、いよいよ反乱軍がホワイトハウスに突入するクライマックスまで来ても、僕はいまひとつ緊迫感を感じなかった。
こういう映画は「本当にこんなことになったら大変だ」と思わせてこそ成功と言えると思うんですけどね。
オススメ度C。
A=ぜひ!🤗😱 B=よかったら😉 C=気になったら🤨 D=ヒマだったら😑