『ブロンド』(Netflix)🤨

Blonde
167分 2022年 アメリカ 18+

3年前にNetflixで配信が始まって以来、マリリン・モンローを性的に誇張して描いた伝記映画として、世界的な批判や酷評が絶えない問題作。
ノーマ・ジーン(モンローの本名)が少女時代に母親グラディスから虐待を受けていたという冒頭から、モンローの伝記を読んだり、ドキュメンタリーを観たりしている僕のような視聴者には、最後まで違和感がつきまとう。

とくに、半ば強制されたとはいえ、終生子供をほしがっていたモンローが2度も中絶手術を受けていたというくだりはでっち上げが過ぎている。
子宮の胎児が「私を殺さないで」とモンローに話しかけてくるという描写など、ほとんどホラー映画で、悪趣味の極みと言わざるを得ない。

モンローを演じるアナ・デ・アルマスが大変な熱演であることは確かだが、始終泣きじゃくっているような印象ばかりが強く、一部の批評にあるような「実在したモンローに生き写し」と言えるほどには達していない。
ヌードがまったく美しくなく、と言うより意図して美しく撮ろうとしていないらしく、ベッドシーンも下品で、一時代を築いたセックス・シンボルとしての魅力は皆無。

監督、脚本を手がけたアンドリュー・ドミニクはよっぽどモンローを貶めたかったのか。
原作が純然たる伝記ではなく、ジョイス・キャロル・オーティスによる小説である点を割り引いても、散々酷評されたのもむべなるかな、という出来栄えでした。

オススメ度C。

A=ぜひ!🤗😱 B=よかったら😉 C=気になったら🤨  D=ヒマだったら😑

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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