
ふだんは古典や文庫本ばかり読んでいるのに、何か面白い新刊はないかと書店を徘徊している最中、予備知識がまったくないまま、帯のコピーや装丁に惹かれてハードカバーの新刊を購入することがたまにある。
神楽坂の文悠で買ったこの本もそういう1冊。
主人公・美佐は嫁ぎ先で意地悪な姑に悩まされている50歳前後の女性。
育ての親だった叔母・弥生が認知症で、ひとり暮らしをしていたゴミ屋敷から施設に入ることになり、久しぶりに山間の田舎町へ帰省するところから物語は始まる。
美佐が最初に遭遇するミステリーは、弥生が頑丈な金庫の中にしまっておいた中身。
さては、ここに弥生の秘めたる過去の秘密を紐解く鍵が残っているのではないか、と思わせておいて、その金庫の奥にある闇と真相へ、美佐と読者を引っ張っていく。
ミステリーなのでこれ以上詳しくストーリーを追うことは控えるが、この後にも小説、編み物、ミネラルウォーターなどなど、効果的に布石が打たれ、クライマックスで一気に回収されていく。
介護というより、初恋やトラウマにまつわる物語で、人間は認知症を患う年齢になっても過去から逃れられないのだろう、という感慨が読み終えた後に残る。
ちなみに、重要な登場人物である老婦人の名前は、偶然にも入院中の僕の母親と同じ。
面白かったことは面白かったけど、少々複雑な気分で本を閉じました。
😁😢🤔☺️
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