『妻亡きあとに~近藤正臣 郡上八幡ひとり暮らし~』(NHK-BS)😉

60分 初放送:2024年3月20日AM8:00~ 制作・著作NHK

近藤正臣は7年前、妻・裕子とともに東京から岐阜・郡上八幡に移住した。
1年半前にその妻を亡くし、現在は猫のヤッコと山間の一軒家でひっそりと暮らしている。

すでに83歳、NHKのテレビカメラの前でも身なりに構わなくなっているのか、終始ダウンジャケットにデニムといったラフな格好で、若き日の二枚目ぶりは見る影もない。
しかし、それでも変わり果てたように思えないのは、声が若い頃と変わっていないからだ。

『柔道一直線』(TBS、1970~1971年)の結城真吾役でブレークした28歳の時ほどではないものの、NHK大河ドラマ『黄金の日日』(1978年)で石田三成を熱演した35歳の頃と比べても、声だけは老け込んだと感じさせない。
80代になるとしゃがれ声になり、満足にしゃべれなくなってしまう高齢者も少なくないから、近藤さんの声を聞いているだけでも何かホッとした気分になる。

家の中は洋間のリビングも和室も清潔で、キッチンに立つと、丁寧に具材を切り刻んで、クロワッサンを焼いたり、そうめんを茹でたり。
リビングでテレビを見ながら食事をしていると、隣の部屋からやってきたヤッコにも食べ物を分けてあげる。

そうした近藤さんの生活の点描は、まだまだ生気に溢れ、俳優ならではの色気を感じさせる。
観終わって、ふと考えた。

俺は83歳になった頃、生きていればどんな生活を送っているだろうか。
近藤さんのように、寂しくても心穏やかに暮らせているだろうか。

オススメ度B。

A=ぜひ!🤗😱 B=よかったら😉 C=気になったら🤨  D=ヒマだったら😑

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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