
近藤正臣は7年前、妻・裕子とともに東京から岐阜・郡上八幡に移住した。
1年半前にその妻を亡くし、現在は猫のヤッコと山間の一軒家でひっそりと暮らしている。
すでに83歳、NHKのテレビカメラの前でも身なりに構わなくなっているのか、終始ダウンジャケットにデニムといったラフな格好で、若き日の二枚目ぶりは見る影もない。
しかし、それでも変わり果てたように思えないのは、声が若い頃と変わっていないからだ。
『柔道一直線』(TBS、1970~1971年)の結城真吾役でブレークした28歳の時ほどではないものの、NHK大河ドラマ『黄金の日日』(1978年)で石田三成を熱演した35歳の頃と比べても、声だけは老け込んだと感じさせない。
80代になるとしゃがれ声になり、満足にしゃべれなくなってしまう高齢者も少なくないから、近藤さんの声を聞いているだけでも何かホッとした気分になる。
家の中は洋間のリビングも和室も清潔で、キッチンに立つと、丁寧に具材を切り刻んで、クロワッサンを焼いたり、そうめんを茹でたり。
リビングでテレビを見ながら食事をしていると、隣の部屋からやってきたヤッコにも食べ物を分けてあげる。
そうした近藤さんの生活の点描は、まだまだ生気に溢れ、俳優ならではの色気を感じさせる。
観終わって、ふと考えた。
俺は83歳になった頃、生きていればどんな生活を送っているだろうか。
近藤さんのように、寂しくても心穏やかに暮らせているだろうか。
オススメ度B。
A=ぜひ!🤗😱 B=よかったら😉 C=気になったら🤨 D=ヒマだったら😑