今回の帰省はじれったい

毎回、食材の買物をしているスーパー〈藤三〉

今週末は今年初めて、マツダスタジアムでカープのオープン戦、ヤクルト2連戦が組まれている。
9年ぶりに張り替えられた天然芝の初披露に加えて、試合前には今年加入したルーキー、外国人、移籍組など、新入団選手の紹介セレモニーも行われた。

竹原の家にいると、きょうも明日も地元テレビ局が地上波で中継してくれるのがありがたい。
いや、ありがたがってないで、マツダへ取材に行けよ、とツッコミが入るかもしれないけれど、今回は行きたくても行けない理由がある。

何かというと、先月から入院中の母親との面会、及び担当医の先生と現状や今後の治療方針についての話し合いだ。
還暦を過ぎても野球の取材にうつつを抜かし、ろくに親孝行もしてこなかったドラ息子としては、こんな時ぐらい高齢のお母さんを励まし、一日でも長生きしてもらうよう手を尽くさなければバチが当たる。

しかし、人生、巡り合わせが悪い時はあるもので、今回は帰省の直前に大恩ある方が亡くなった。
僕が小さいころから可愛がってもらい、日刊現代への就職に際しても一方ならぬお世話になった人。

本来なら何を置いてもお通夜と告別式に駆けつけなければならないのに、その日程が母親や担当医との面会と完全に重なってしまった。
その方の息子さんには、丁重にお悔やみの言葉を伝え、後日改めてお線香をあげに伺いたい、という申し出を承諾してもらったものの、果たしてそれでよかったのかどうか、いまだに胸の内で疑問と後悔が燻っている。

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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