昨年配信されて大評判を取り、今なおネット上ではファンの間で様々なレビュー、イチャモン、思い出話が飛び交っている。
オンタイムではクラッシュ・ギャルズや極悪同盟の試合をまともに観たことがないくせに、柳澤健著『1985年のクラッシュ・ギャルズ』(2011年、文藝春秋)が出たときはすぐさま買って読み、シミジミ感動したという中途半端な関心しか持てなかった私としては、『極悪女王』も観ようかなー、観ないで済ませようかなー、としばらく逡巡していたのだが、結局、年末年始休みの最中、竹原の家でほぼ一気観することになった。
それぐらい、このドラマはとにかく面白い。
オープニングでダンプ松本(ゆりやんレトリィバァ)が極悪メイクを施し、観客に罵声を浴びせられながらリングへ向かうシーンから、彼女がまだ松本香だった不幸で貧乏な少女時代に遡る序章へと一気に引き込まれてしまう。
松本香はエピソード1で早くも全女(全日本女子プロレス、作品中では全日女子プロレス)の門を叩くが、様々な苦難と葛藤を経て「ダンプ松本」に変身を遂げるのは全5話中、やっと第3話の終盤になってから。
最初の売り物にする凶器がなぜチェーンになったのかを示唆するくだりから、おどろおどろしいメイクでリングに上がる見せ場まで、ゆりやんが圧巻の演技を見せている。
対するクラッシュは、剛力彩芽はライオネス飛鳥に見えるけれど、長与千種役の唐田えりかは最後まで長与ではなく、唐田のままに見える。
剛力は大手芸能事務所オスカープロモーションを離れて2020年に個人事務所を設立、唐田も同じ年に不倫スキャンダルで一時表舞台から姿を消しており、どちらにとっても本作が初のドラマへの本格復帰だった。
そうした背景があるからか、剛力、唐田の演技には一種異様な雰囲気と迫力を感じる、とは、モデルとなったダンプ松本もYouTubeのトーク番組でコメントしていた。
ただ、剛力が飛鳥になりきっていたのに対し、唐田は自分自身の個性が前面に出ているところに微妙な差異があったものの、どちらも大変な熱演だったことに変わりはない。
最終話のクライマックス、髪切りデスマッチの内幕は事実とはまったく異なるらしく、これは『1985年のクラッシュ・ギャルズ』にも書いてあり、ダンプ松本もYouTubeでドラマとは違う〝真相〟を明かしていた。
しかし、チェーンやフォークで血を流し合う凄惨なプロレスシーンが延々と続くうち、何が本当で何がウソかなど、どうでもよくなってしまう。
プロレスもドラマも、要するに面白ければいいのだ。
素材がキワモノだろうとニセモノだろうと、しっかり作ってファンを喜ばせ、視聴者を引きつければ、結果として立派なホンモノの作品として評価されるのである。
ちなみに、ダンプと長与は髪切りデスマッチのリターンマッチをやっている。
『極悪女王Part2』もあるのかな???
A=ぜひ!🤗😱 B=よかったら😉 C=気になったら🤨 D=ヒマだったら😑