親父と伯父貴の面影

父親の育てた柚子がまた大きな実をつけています

きのう、新年2日目の夜、久しぶりに父親の夢を見た。
生前は時折、手がつけられないほどの癇癪を起こす人で、今でも息子の僕にはその印象が強いのだが、ゆうべ夢に出てきたのは、寝室で早起きして、何か穏やかな会話を交わしていた時の父親だった。

帰省中はその父親が使っていたベッドで寝ているので、たまには昨夜のように父親が夢枕に立つこともある。
そのたびに、もっといろいろなことを話しておけばよかったなあ、と後悔交じりに思うことも、死後3年も経つとだんだん少なくなってきた。

その新年2日目の昼間、父親の夢を見る前には、これも久々に母方の伯父の墓参りをしていた。
年末29日の市役所のOさんとの会食、大晦日に照蓮寺へ除夜の鐘を撞きにお邪魔した際、思いがけず立て続けに伯父の生前の活動が話題に上ったことがきっかけでした。

伯父は地元で長年、少年野球チームの運営に関わっており、熱心に指導をしていたという。
そのこと自体は知ってはいたけれど、大変優しい性格で、地元の方々に慕われていたことまでは、交流が途絶えがちだったこともあり、まったく知らなかった。

それで慌ててお墓参りに行き、花を供えてお参りしてきたわけです。
しかし、いかにも昭和の頑固親父的な口の聞き方をする伯父さんは、「今ごろ遅いわい」と苦笑しているかもしれない。

親父が夢に出てきたのは、そんな僕に感心したからだろうか。
というのは、もちろん、この世に残された愚息の勝手な思い込みに過ぎないが。

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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