『マップ・トゥ・ザ・スターズ』(WOWOW)😉

Maps to the Stars
112分 2014年 カナダ、アメリカ、ドイツ、フランス
配給:アメリカ=フォーカス・フィーチャーズ、イギリス=エンターテインメント・ワン、日本=プレシディオ

ホラー映画の鬼才としてブレークし、『イースタン・プロミス』(2008年)で巨匠の座に上り詰めたデヴィッド・クローネンバーグのエログロ人間ドラマ。
彼が初めてハリウッドのスター俳優を主役に据え、アメリカに腰を据えてロケ撮影を敢行した映画でもある。

主演は本作の1年後にアカデミー主演女優賞を獲得したジュリアン・ムーア。
彼女が演じる中年女優ハヴァナは年齢的に難しい時期に差し掛かっており、かつて子役として一世を風靡した大女優の母の亡霊(幻影)に悩まされている。

そんなハヴァナに秘書として雇われるのがミア・ワシコウスカ演じるアガサ。
顔、首、両手に大きな火傷の跡があり、彼女もまたハリウッド・スターの娘で、子供のころに虐待されていたことが徐々にわかってくる。

このふたりに、アガサと恋仲になる俳優兼脚本家志望のリムジン運転手(ロバート・パティンソン)、テレビタレントでもある心理学者(ジョン・キューザック)、その心理学者がスター子役にしようと躍起になっている息子(エヴァン・バード)などがからむ。
異様に首が長く、なで肩で、フリークスっぽい体型をしたバードがちょっと面白い。

主演のムーアはセミヌードで3Pをやったり、トイレで用を足したあとに股間を拭って見せたり、セレブなスターらしからぬ体当たり演技を見せている。
こうやってハリウッド女優の虚飾を暴くのがクローネンバーグの狙いだったのかな。

威風堂々たる作風に到達した『イースタン・プロミス』に比べると、『戦慄の絆』(1988年)、『裸のランチ』(1991年)、『クラッシュ』(1996年)のころの神経症的で不安をかきたてるようなタッチに立ち返った感が強く、完成度は高い。
ただし、そのぶん、『イースタン・プロミス』のように万人ウケする作品かとなると、受け止め方、感動の度合いには個人差があるでしょうね。

オススメ度B。

A=ぜひ!🤗😱 B=よかったら😉 C=気になったら🤨  D=ヒマだったら😑

旧サイト:2016年03月20日(月)Pick-up記事を再録、修正

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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