『ディアボロス 悪魔の扉』(WOWOW)🤨

The Devil’s Advocate
144分 1997年 アメリカ=ワーナー・ブラザース
日本公開:1998年 配給:日本ヘラルド映画

刑事事件で無敗の連勝記録を誇るフロリダの弁護士キアヌ・リーブスを、ニューヨークの大手弁護士事務所を経営するアル・パチーノがスカウト。
リーブスが大喜びで妻シャーリーズ・セロンを連れて行ったら、パチーノが「悪魔」の本性を現し、とんでもない目に遭う、という豪華キャストのスリラー映画である。

今や『ジョン・ウィック』シリーズの寡黙な殺し屋がすっかり板についたリーブスも、28年前の本作公開当時は血気盛んな正義漢がドンピシャリのイケメン俳優。
すでに大御所となっていたパチーノを相手に一歩も退かぬ熱演を見せている。

クライマックスではパチーノも負けじと絶叫調の大演説を披露。
こちらも力が入っており、さすが名優と思わせるものの、あまりに長広舌が過ぎ、観ているうちにいささかくたびれてしまい、スリラーとしての怖さも吹っ飛んでしまった感がある。

そんな男優ふたりに挟まれた当時22歳のセロンは位負けしている印象が強いが、リーブスとのファックシーン、教会で全裸になる場面が非常に鮮烈。
以上、3大スターのファンなら最後まで楽しんで観られるでしょう。

なお、原題の「悪魔の弁護人」は実際の法曹界でも使われている用語で、とりあえず裁判を成立させるために弁護につき、本作のリーブスのように、本当は有罪であるにもかかわらず、あえて無罪を主張するような弁護人のことを指すという。
つまり、本作は訴訟大国アメリカに対する皮肉が込められた映画でもあり、そうした分野に興味のある人には通り一遍のスリラーとは異なる楽しみ方ができるだろう。

パチーノがニューヨークの有力者を招いて開催するパーティーでは、女性客が「本当はトランプも来る予定だったのよ」などと、前大統領の名前が飛び出すシーンもある。
また、パチーノとリーブスがボクシング観戦をする場面では、本物のドン・キングが登場し、パチーノとハグしているのには驚かされた。

ただ、正直、2時間半弱もかける内容ではないんじゃないかなぁ。
二重、三重のオチも賛否の分かれるところでしょうね。

オススメ度C。

A=ぜひ!🤗 B=よかったら😉 C=気になったら🤨  D=ヒマだったら😑

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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