親父の紫陽花が満開

2022年6月19日撮影

きょうから毎月恒例、郷里・竹原の実家で数日間の帰省生活に入ります。
今回、最も驚いたのは、父親が生前、庭の奥に植えた紫陽花が、これまでで一番の大輪の花を咲かせていたこと。

上の画像は2022年6月19日に撮影したもの。
父親はこの年9月13日に亡くなったので、この紫陽花は父親が生前に見た最後の花だった。

父親の死後、枯れてしまったこの紫陽花を、僕は根っ子の近くから剪定した。
相続を済ませたとはいえ、ずっと住むわけにはいかないから、枯れた花を放っておくより、切り落としたほうがいいだろうと思って。

生命力の強い紫陽花は翌2023年、ふたたび茎を伸ばし、葉をつけたが、その年は花を咲かせることはなかった。
もうあの紫陽花が咲くことはないだろう、親父には悪いことをしたかもしれない、と思っていたら、今年になってまた花を咲かせたのだ。

今年6月4日撮影

かつて父親が咲かせた紫陽花より小ぶりではあるけれど、また咲いてくれてよかった、と思った。
2年ぶりの開花には、母親も大いに喜んでいる。

ここからどれだけ育つか、2年前に親父が最後に見たのと同じくらい大きな花が咲けばいいが。
と思っていたら、きょう1カ月ぶりに見たこの紫陽花は、僕の予想をはるかに超えていた。

2024年7月1日撮影
紫陽花の下にまた紫陽花が
さらに葉の陰でも咲いている

父親の死後、僕がこの紫陽花を育てるためにしたことは何一つない。
帰省期間中、水やりすら一度もしていない。

それでも紫陽花がここまで大きな花を咲かせたのは、丹精込めて栽培していた父親の気持ちの賜物なのか。
いいトシをして、とは思うけれど、そんな感傷が胸の内をよぎった。

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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