DeNA平良と三浦監督に見るフォーム改造と2段モーションの今昔⚾

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きょうの取材現場は最近、めっきり足を運ぶ機会の減った横浜スタジアム。
興味の焦点は約3カ月ぶりに先発のマウンドに上がったDeNAの平良拳太郎でした。

平良は3月30日、開幕カードの広島戦に勝ち、今季初登板で初勝利を挙げたと思ったら、ほどなくして登録抹消。
その後、調整のために先発した二軍戦でも途中降板しており、三浦監督が「右肩の違和感」と説明していた。

それからしばらく右肩に負担のかからないフォーム改良に取り組み、直近の二軍戦4試合では防御率1.13をマーク。
様々な試行錯誤を経て、きょう満を持しての一軍復帰となった。

シーズン中のフォーム改良には多少のリスクも伴うかと思ったが、試合前にチーム関係者に取材すると、今回の平良のケースは「微調整の範囲内」だという。
投手は1試合の中でも腕を振り出す角度やプレートを踏む位置など、細かい変更することが多々あるから心配するには当たらない、というんですね。

ちなみに、三浦監督は現役時代、かなり抜本的なフォーム改造を断行した経験の持ち主。
2006年のルール変更により、三浦監督の投球スタイルの代名詞でもあった2段モーションが反則投球とされてしまい、一連の流れるような投球動作に変えざるを得なかった。

きょうの試合前囲みでも三浦監督にチラリと聞いてみましたが、あのフォーム改造は相当「大がかりな作業」だったそうです。
2段モーションについては、西武時代の菊池雄星も2試合連続で反則投球の宣告を受け、当時の辻監督が激怒し、西武がNPBに意見書を提出する騒ぎに発展したこともある。

それが2018年、NPBがメジャーリーグに倣うべきとの判断から、再度のルール改正を行って2段モーションを〝合法化〟。
いまでは他の投手と同様、きょうの平良も大きく足を上下させるフォームで投げている。

さらに、これまで頑なに足の上げ下げをある種〝狡猾な〟反則投球としていた高野連も、今年から「プロや大学に合わせる」として2段モーションを解禁。
スポーツのルールは時代の趨勢に合わせて変わるのが常とはいえ、ここまで真逆になってもいいのか、という気がしないでもない。

さて、きょうの平良、復帰登板の結果は5回86球を投げて7安打1失点。
チームが4-1と3点をリードしたところでマウンドを降り、その後同点に追いつかれて勝敗はつかなかったものの、まずは合格点の再スタートとなりました。

なお、試合は延長十回、宮﨑のホームランでベイスターズが今季初のサヨナラ勝ち。
試合後の三浦監督は、中川虎、徳山、京山ら、苦しい展開をしのぎきったリリーフ陣の成長に手応えを感じていました。

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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