『ザ・ホエール』(WOWOW)😉

The Whale
117分 2022年 アメリカ=A24 PG12
日本公開:2023年 配給:キノフィルムズ

アパートの一室に引きこもり、うつ病と過食症によって体重272キロまで肥大化した中年男チャーリーをブレンダン・フレイザーが演じて第95回アカデミー主演男優賞を受賞した作品。
当時、フレイザーは実生活でも離婚、母親との死別、セクハラ被害などによってうつ病を患い、2008年ごろからしばらく休養していたため、自分自身を投影しているかのような熱演は高く評価され、非常にドラマチックな復活として注目を集めた。

原作はサミュエル・D・ハンターの同名戯曲で、監督は『レスラー』(2008年)、『ブラック・スワン』(2010年)、『マザー!』(2017年)など、異色の人間ドラマで知られるダーレン・アロノフスキー。
顔を隠して大学のオンライン講師を務めているチャーリーの元に、キリスト教新興宗派の宣教師、アジア系の看護師、娘や元妻が訪ねる過程を通して、彼がどのような人生を歩み、いかにして心身を病んでいったかが描かれる。

大変見応えのある作品であることに異論はなく、チャーリーの部屋に出入りする人間たちが次から次へと意外な経歴と正体を明かしていく過程も面白い。
ただし、物語の核となるチャーリーと娘エリー(セイディー・シンク)の関係については、ピンとくる人と、こない人に分かれるだろう。

なぜエリーが子供のころに書いたエッセイを文学者のチャーリーが激賞するのか、それは教師としての評価なのか、娘に対する盲目的な愛ゆえなのか。
これ以上はネタバレになるから書けないので、興味のある方は本作をご覧ください。

オススメ度B。

A=ぜひ!🤗😱 B=よかったら😉 C=気になったら🤨  D=ヒマだったら😑

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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