アパートの一室に引きこもり、うつ病と過食症によって体重272キロまで肥大化した中年男チャーリーをブレンダン・フレイザーが演じて第95回アカデミー主演男優賞を受賞した作品。
当時、フレイザーは実生活でも離婚、母親との死別、セクハラ被害などによってうつ病を患い、2008年ごろからしばらく休養していたため、自分自身を投影しているかのような熱演は高く評価され、非常にドラマチックな復活として注目を集めた。
原作はサミュエル・D・ハンターの同名戯曲で、監督は『レスラー』(2008年)、『ブラック・スワン』(2010年)、『マザー!』(2017年)など、異色の人間ドラマで知られるダーレン・アロノフスキー。
顔を隠して大学のオンライン講師を務めているチャーリーの元に、キリスト教新興宗派の宣教師、アジア系の看護師、娘や元妻が訪ねる過程を通して、彼がどのような人生を歩み、いかにして心身を病んでいったかが描かれる。
大変見応えのある作品であることに異論はなく、チャーリーの部屋に出入りする人間たちが次から次へと意外な経歴と正体を明かしていく過程も面白い。
ただし、物語の核となるチャーリーと娘エリー(セイディー・シンク)の関係については、ピンとくる人と、こない人に分かれるだろう。
なぜエリーが子供のころに書いたエッセイを文学者のチャーリーが激賞するのか、それは教師としての評価なのか、娘に対する盲目的な愛ゆえなのか。
これ以上はネタバレになるから書けないので、興味のある方は本作をご覧ください。
オススメ度B。
A=ぜひ!🤗😱 B=よかったら😉 C=気になったら🤨 D=ヒマだったら😑