『マッドマックス 怒りのデス・ロード』😉

Mad Max: Fury Road
120分 2015年 アメリカ=ワーナー・ブラザース
@新宿ピカデリー 2016年3月4日(金)デジタル3D

『マッドマックス:フュリオサ』を観た後、この前作の内容を振り返っておきたくなったので、旧サイトに掲載した2016年のレビューをアップしておきます。
いま振り返ると、「フュリオサって何者なんだよ」という疑問を感じていたファンはこのときから少なくなく、今回の続編兼前日譚はそういう声に応える作品だったんですね。

そういう意味では、いろんなことが腑に落ちる映画体験でした。
以下、旧サイトの記事、よかったら御一読ください。

2015年6月に公開され、第88回アカデミー賞授賞式で衣装デザイン賞、美術賞、メイク・ヘアスタイリング賞、編集賞、音響編集賞、録音賞と、今回最多の6部門でオスカーを受賞した。
日本では翌2016年1月31日から再上映されており、これを逃したらもう3D版を観る機会はないだろうからと、3月に入ってから慌てて新宿ピカデリーへ行ってきた。

開巻、トム・ハーディ演じる〝ニュー・マックス〟の後ろ姿が映り、カッコいいモノローグで始まったかと思ったら、双頭のイグアナを踏み潰してムシャムシャ。
続いて、懐かしやインターセプターをぶっ飛ばし始めた途端、スキンヘッドのゾンビみたいな連中に取っ捕まり、「輸血袋」と呼ばれる血の供給源にされてしまう。

マックスが囚われの身となった「シタデル砦」の首領イモータス・ジョーは、迂闊にも観てすぐにそうとはわからなかったヒュー・キース・バーン。
このシリーズ第1作『マッドマックス』(1979年)で敵役の暴走族トゥーカッターに扮していた俳優で、68歳にもなってこういう役を演じていることに、適当な言葉ではないかもしれないが、男気のようなものを感じる。

そのジョーを裏切って砦からの逃亡を企む隻腕の女性軍人フュリオサ大隊長がシャーリーズ・セロン。
自ら提案したという坊主頭、ノーメイクによる体当たり演技は『モンスター』(2003年)を彷彿とさせる迫力だった。

お話は6割から7割が逃げるマックス&フュリオサ、追うジョーとその一派の追いかけっこの中で展開する。
すべてのアクション・シーンをコマ落としで撮影し、480時間もの映像を2時間に編集(というより凝縮か)したというスピード感と濃密度はアメージングというほかに言葉がない。

単に約30年前のシリーズ作品のテイストを引き継いでいるだけでなく、オスカーを受賞した衣裳や車のデザイン、棒高跳びのような棒を使うシタデル兵士のアクションなど、斬新で面白いアイデアも多い。
1970~80年代に生まれた物語とキャラクターが、様々な技術革新を取り入れ、21世紀に辿り着いた一つの到達点と言ってもいいだろう。

ただし、あまりにも矢継ぎ早にストーリーが進行するため、マックスやフュリオサの過去、ジョーが地下水を独占して独裁者となった経緯、様々な部族が敵対しながら共存している世界観など、説明が少々おざなりにされているような気もする。
というモヤモヤした思いを抱いてから8年、続編『フュリオサ』によって、やっと様々な疑問が氷解したというわけでした。

オススメ度B。

A=ぜひ!🤗😱 B=よかったら😉 C=気になったら🤨  D=ヒマだったら😑

旧サイト:2016年03月4日(金)Pick-up記事を修正、再録

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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