『グランツーリスモ』(WOWOW)😉

Gran Turismo
134分 2023年 アメリカ=ソニー・ピクチャーズ・エンターテインメント

タイトルはご存じ、ソニーから発売されて世界的に大ヒットしているプレステのレーシング・シミュレーション・ゲーム・シリーズの名称。
このゲームのトッププレーヤーとなり、その腕を買われて本物のプロレーサーとなったヤン・マーデンボローの実話を映画化した作品である。

映画の配給元がソニー・ピクチャーズで、製作にプレイステーション・プロダクションが参加し、グランツーリスモを開発した山内一典もエグゼクティヴ・プロデューサーのひとりとして名を連ねている。
さらに、マーデンボロー自身もレース場面のスタントドライバーを務めており、ソニーとグランツーリスモ・グループ総がかりの自己PR映画と言っても差し支えない。

それだけに、序盤のゲームの映像と終盤以降のレース場面は非常によくできており、マーデンボロー(アーチー・マデクウィ)がハンドルを切るたび、画面を見ているこちらもその動きに合わせて体を左右に揺らせてしまう。
とりわけ、クライマックスでレースをしているマーデンボローが自宅に戻り、シミュレーションゲームのステアリングを握っている姿と重なって、ふたたびレース場に戻ってくるシーンが素晴らしい。

と、こう書いても何のことやらわからん、という人は実際に本作を観て映像を確かめてください。
また、レース中はマーデンボローのレーシングカーにゲーム風の矢印をつけて見せているので、各レースの状況も非常にわかりやすい。

ただ、あまりにも型通りのサクセス・ストーリーなので、ひとりのレーサーの物語として観ると、いささか食い足りないのも確か。
監督がニール・ブロムカンプだから、どこかで『第9地区』(2009年)、『エリジウム』(2013年)、『チャッピー』(2015年)のようなヒネリと皮肉を入れてくるのではないかと予想していたが、そういう意味では肩透かしでしたね。

オススメ度B。

A=ぜひ!🤗😱 B=よかったら😉 C=気になったら🤨  D=ヒマだったら😑

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
先頭に戻る