『おじいちゃん、死んじゃったって。』(WOWOW)😉

104分 2017年 マグネタイズ、松竹 PG12

岸井ゆきのの初主演作品で彼女が演じるヒロイン春野吉子が自宅で恋人・圭介(松澤匠)とセックスしている最中、祖父・功(五歩一豊)の訃報を知らせる電話がかかってくる、という意表を突いたオープニングからスタート。
ここから北関東らしき祖父母の実家に舞台が移り、久しぶりに集まった家族同士が通夜と告別式を進める中で様々な葛藤が繰り広げられる。

いがみ合いの主役となるのは実家の近くで祖父母の面倒を見ていた長男・昭男(岩松了)と、東京に自宅を構えている次男で吉子の父・清二(光石研)。
何かと言えば憎まれ口をたたき、祭壇の前で取っ組み合いまでするこの2人と吉子に、昭男の別れた後妻・野村ふみ江(美保純)、娘・千春(小野花梨)、息子・洋平(岡村天音)、清二の妻・京子(赤間麻里子)、清二の息子で吉子の弟・清太(池本啓太)、それに認知症が進行している祖母・ハル(大方斐紗子)、長らく音信不通だった昭男と清二の妹・薫(水野美紀)がからむ。

配役のアンサンブルが絶妙で、家族ドラマとしては最後まで心地よく楽しむことができる。
とくに、僕と同じように独身のままでいる薫が、結婚していないことをなじる兄ふたりに、自分の主張をまくし立てるくだりが印象に残りました。

ただ、僕自身は一昨年9月、この映画と同じ暑い盛りに父親を亡くしており、通夜と葬儀の準備を進める一方、様々な対応に奔走した自分の経験と引き比べないではいられなかった。
制作者としては、何だかんだ言ってもこういうときに集まれる家族がいるのはいいなあ、という印象を残したかったのだろうし、その狙いはある程度成功しているとは思うけど、僕はそこまで素直に受け止められませんでしたね、残念ながら。

オススメ度B。

A=ぜひ!🤗😱 B=よかったら😉 C=気になったら🤨  D=ヒマだったら😑

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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