『幸せなひとりぼっち』(WOWOW)🤗

En man som heter Ove
116分 2015年 スウェーデン
日本公開:2016年 配給:アンプラグド

スウェーデンのベストセラー作家フレドリック・バックマンの同名原作小説の映画化作品で、トム・ハンクス主演でリメイクされた『オットーという男』(2022年)のオリジナル版。
先にリメイク版を観ていたので楽しめるかどうかと思ったが、ハリウッド映画とはだいぶテイストが違うので、まったくと言っていいほど気にならなかった。

オリジナル版の主人公はオットーならぬオーヴェはリメイク版より4歳若い59歳だが、演じるロルフ・ラスゴードの実年齢が68歳とあってハンクスよりも老けて見える。
ただ、ハンクスと違い、日本ではイメージの定着していない俳優なので、こちらを先に観たらああいう結末になるかどうかわからず、もっとハラハラさせられたかもしれない。

舞台は原作と同じスウェーデンで、オーヴェが43年間勤め上げてクビにされる会社は地元の鉄道会社。
実は父親(ステファン・ゲティケ)も同じ鉄道会社で整備工をしており、幼少期のオーヴェ(ヴィクトル・バーゲ)もこの職業に誇りを感じながら育ったことが詳しく語られる。

また、オーヴェの妻ソーニャ(イーダ・エングヴォル)が重傷を負ったバスの転落事故からどのようにして再起したかが描かれているのも、リメイク版とは異なる大きな観どころ。
オーヴェの近所に引っ越してきて、何やかやと相談を持ちかける女性パルヴァネ(バハール・パルス)はリメイク版のメキシコ人でなくイラン人になっていて、これも作品に貴重なアクセントを加えている。

リメイク版とオリジナル版、これから観る人にどちらが先がいいかを勧めるとしたら、正直、甲乙つけ難い。
ただ、先でも後でも、このオリジナル版だけは観たほうがいいですよ。

オススメ度A。

A=ぜひ!🤗😱 B=よかったら😉 C=気になったら🤨  D=ヒマだったら😑

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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