先月、庵野秀明の『シン・ウルトラマン』WOWOW初放送に併せてオンエアされた昭和の東宝特撮大作。
地球を侵略しようと飛来してきた宇宙の放浪民族ミステリアンと、日米が中心となった地球防衛軍の対決が描かれる。
昔からレンタルビデオや地上波テレビ放送で何度も繰り返し観ているのもかかわらず、いまでも懐かしく楽しめる一本。
要するに好きなんですが、今回はいままでとは違い、妙に複雑な思いも湧きました。
ミステリアンは5000年前、原水爆で自分たちの星を滅ぼしてしまい、宇宙を彷徨っているうちに地球に到達。
富士山の麓に地下基地を築き、半径3キロ以内を自分たちの領土として認めよ、子孫繁栄のためにヒロインの白川由美、河内桃子ら女性5人を引き渡せ、などと要求する。
ミステリアンと日米合同防衛軍が戦闘状態に入る中、白川たちが誘拐されて地下基地に拉致されるが、防衛軍は彼女たちを救出しようともせずに全面攻撃を継続。
そこで、主人公の佐原健二が単身、ミステリアンの地下基地に潜入する。
いま観ていると、この構図が現在ガザ地区で起こっている現実の戦争とダブっているように感じられて仕方がない。
もちろん、防衛軍がイスラエル軍で、ミステリアンがハマスである。
エンディングでは円盤に乗って逃げ出したミステリアンに向かって、佐原が「彼らは永遠に宇宙の放浪者になるんだ」とつぶやいておしまい。
現実の戦争ではパレスチナ人がそう言われることになるのだろうかと、ついつい余計なことを考えてしまいました。
もうひとつ、すっかり忘れていた重要なポイント。
ミステリアンは常にフルフェースのヘルメットとシェードで顔を隠しているが、これが地下基地の崩落の最中に割れると、その下からケロイドのある欧米人の顔が現れる。
もちろん原水爆による被爆の痕を表現した演出で、のちに『続・猿の惑星』(1970年)に出てくるミュータントが同じようなメイクをしていたのを思い出しました。
ひょっとしたら、ハリウッドのほうが東宝を真似したのかな…というのは完全な推測ですが。
オススメ度B。
A=ぜひ!🤗😱 B=よかったら😉 C=気になったら🤨 D=ヒマだったら😑