警視庁公安部による逮捕、起訴から起訴取り下げまでの経過と内情を丹念に追い、いかにして犯罪が捏造され、一中小企業の経営者が冤罪に苦しめられたか、詳細に検証したドキュメンタリーの傑作。
警察や検察の欺瞞に満ちた体質は1992年の飯塚事件、2009年の村木事件のころからまったく変わっていない、という以上に、そもそもでっち上げを仕事の一部とでも考えているのではないかと言いたくなる。
今回の犠牲者は大川原化工機の社長ら経営幹部3人。
同社が製造し、中国に輸出している噴霧乾燥機は生物兵器に転用され得る、軍事利用可能な機械の不正輸出を行った、との嫌疑を警視庁公安部、経済産業省にかけられ、2020年3月11日、外為法違反容疑で逮捕された。
ところが、捜査が進むにつれ、そもそも噴霧乾燥機事態に兵器に転用できる部分などないことが明らかになり、起訴取り下げという事態に至る。
その間、不当逮捕された顧問は1年間に及ぶ勾留中に死亡しており、大川原化工機は国と東京都を相手取って損害賠償を求める民事訴訟を起こした。
2023年6月30日、東京地裁で行われたその裁判で、実際に捜査に当たった現職の警部補が東京地裁で捏造であることを証言。
不正輸出のでっちあげを目論み、それが破綻するまでの過程で公安内部で何が起こっていたのか、NHKの取材班は独自取材で驚くべき内情を白日の元に晒し、捜査の指揮を執った公安部第五係長にもマイクとカメラを向ける。
この訴訟は9月15日で結審しており、今月27日に判決が下される予定だ。
果たして、今度は冤罪被害者が納得できる結果が出るのか、そのとき、国と都はどのような態度に出るのか、この事件はまだ終わっていない。
オススメ度A。
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