舞台は1926年のハリウッド、大手映画スタジオの重役ドン・ウォラック(ジョン・ウォラック)が丘の上に建つ大邸宅に、余興のための像を連れてメキシコ人の青年マニー・トレス(マヌエル・カルバ)がやってくる。
彼がここで知り合った女優志願の蓮っ葉な娘ネリー・ラロイ(マーゴット・ロビー)、サイレント映画のスター俳優ジャック・コンラッド(ブラッド・ピット)の3人が本作の主役。
時はサイレント全盛の時代、西部劇もラブストーリーもスペクタクル史劇もすべて野外でのセットやオールロケで撮影され、そのすぐそばでオーケストラが同時録音の音楽を演奏する、という当時の大掛かりな撮影風景を再現したシーンが素晴らしい。
パーティーでコネをつかんだネリーは女流監督ルース・アドラー(オリヴィア・ハミルトン)に抜擢され、西部劇の酒場女に扮してブレークする。
アドラーが「アクション!」と声をかけるたびに表情を変えるネリーの演技が大きな見どころで、「涙を一滴だけ流せる?」という難しい注文にもワンカットで難なく応えて見せるところが面白い。
しかし、やがてサイレントからトーキーの時代に移り変わると、ネリーのガラガラ声がネックとなり、撮影中に何らかの雑音が混じるたびにダメ出しと撮り直しの繰り返し。
映画スタジオの重役にのし上がったマニーは、ネリーを上流階級の淑女キャラにイメチェンさせて再度売り出しを図るが、彼女は麻薬とギャンブルに溺れていく。
という人気の絶頂から奈落の底へ転げ落ちていく展開は、芸能界の内幕を描いた作品では昔からお馴染みのパターンで、正直なところ、またかと思わせられたのも確か。
余韻を深めようとしたエンディングも無闇に引っ張り過ぎじゃないかな。
監督、脚本を手がけたデイミアン・チャゼルが自分の映画愛をたっぷり表現したかった気持ちはわかるけど、いささか自己満足に走っているようにも感じられました。
オススメ度B。
A=ぜひ!🤗😱 B=よかったら😉 C=気になったら🤨 D=ヒマだったら😑