『緯度0大作戦』(WOWOW)🤨

90分 1969年 日米合作 東宝、ナショナル・ゼネラル・ピクチャー

これも『シン・ウルトラマン』(2022年)のWOWOW初放送に併せてオンエアされた昭和の東宝特撮大作。
学生時代、飯田橋の〈ギンレイホール〉で上映された東宝特撮映画の予告編特集で、本作のサワリだけ目にして面白そうだと思っていたのだが、今日まで一度も観る機会がなかったところ、WOWOWで初放送された。

東宝とアメリカのドン・シャープ・エンタープライズ・プロダクションの合作で、ファンタジー的な筋立てやアメコミ風の衣裳などにはアメリカ側の意向が反映されている。
そのぶん、全体的にマンガチックな雰囲気の作品になっており、特撮映画の名匠・本多猪四郎の演出にもいつもの重厚なタッチが感じられない。

潜水艇で海底調査をしていた宝田明、リチャード・ジェッケル、岡田真澄が、突然の海底火山の噴火によって遭難しかけたところ、謎の潜水艦アルファー号に救出される。
艦長のジョセフ・コットンが帰港した「緯度0」は、海底の地下でありながら晴れ渡った空が広がる別世界だった、という導入部はアメリカ製SF映画で何度も題材にされている地球空洞説そのまんま。

コットンと敵対する悪役は海底のならず者、天才科学者を自称するシーザー・ロメロで、人間の脳みそをライオンやハゲタカの猛獣に移植し、彼らを奴隷にしている悪魔のような科学者。
このあたりはH.G.ウェルズのドクター・モローが元ネタだろうが、あまりに昭和の東宝テイストからかけ離れた展開にだんだん飽き飽きしてくる。

そこへ持ってきて、すべてはジェッケルの見た夢だったかもしれない、という曖昧なオチもいただけない。
劇場公開当時、興行的には大失敗に終わったそうで、ドン・シャープ・プロは倒産し、製作費を回収できなかった東宝は、一時凍結の方針を固めていたゴジラシリーズの再開を決めたそうです。

オススメ度C。

A=ぜひ!🤗😱 B=よかったら😉 C=気になったら🤨  D=ヒマだったら😑

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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