『宇宙大戦争』(WOWOW)😉

91分 1959年 東宝

『シン・ゴジラ』(2016年)が初放送されたときがそうだったように、WOWOWでは新作をオンエアする直前、関連の深い旧作の特集を組む。
今回は『シン・ウルトラマン』(2022年)を11月18日に初放送するに当たり、昔懐かしいゴジラ以外の東宝特撮映画を5本並べた。

その中で僕が少年時代から一度も観たことがなく、WOWOWでも今回のオンエアが初めてだったのがこの『宇宙大戦争』である。
21世紀の現在、ほとんど顧みられなくなっているのは、クライマックスの見せ場が宇宙空間で展開される戦闘機と円盤とのドッグファイトで、今時のVFXを駆使したSFアクション映画に比べると、あまりに見劣りしてしまうからだろう。

とはいえ、人類が月面着陸に成功する10年前に製作された本作は、着陸船が月に到着する場面、地球よりも重力が弱い描写など、当時としてはそれなりに科学考証が尽くされていると評価していい。
地球征服を目論む遊星人ナタール人の司令船が東京上空に現れ、人間もろともビルや車を吸い上げるシーンはいま観てもなかなかの迫力である。

この時代のミニチュア特撮がチャチなようでもそう見えないのは、のちに『怪獣大戦争』(1965年)などでも使われた伊福部昭作曲の『宇宙大戦争マーチ』の効果に負うところが大きい。
デジタルリマスター処理されてもやっぱり見えちゃうピアノ線も、音楽に免じて見えないことにしましょう。

役者では獅子奮迅の活躍を披露する池部良より、ナタール人に洗脳される土屋嘉男が儲け役。
のちに『ガス人間第1号』(1960年)や『怪獣大戦争』でX星人の統制官になる役者だから、本作でも裏切り者のまま死ぬのかと思ったら、中盤に来て自己犠牲の精神を発揮し、大変英雄的な活躍を披露していました。

オススメ度B。

A=ぜひ!🤗😱 B=よかったら😉 C=気になったら🤨  D=ヒマだったら😑

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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