世界史上初の看護師であり、この職業を世界的に認知させ、看護師の養成学校や教育システムを確立したフローレンス・ナイチンゲールの伝記ドキュメンタリー。
彼女が看護活動に人生を捧げたきっかけは、看護団団長として赴任した1854年のクリミア戦争だった。
戦場に初めて特派員として派遣されたロンドン・タイムズ記者ウィリアム・ハワード・ラッセルが、負傷兵は満足な治療を受けていないという記事を執筆。
これを読んだシドニー・ハーバート戦時大臣に戦地への赴任を要請されたナイチンゲールは、あまりに不潔で劣悪だった野戦病院の衛生環境の改善に着手する。
最大の要点は、看護師が負傷兵の治療を終えるたび、必ず熱い湯で入念な手洗いをさせることだった。
さらに、兵士の治療に使用したシーツ、看護師が使用した手袋や白衣も煮沸した上で洗濯する方針を徹底させる。
ナイチンゲールがここまで衛生環境にこだわった理由は、戦地で倒れた負傷兵や戦死者のほとんどが戦場における怪我ではなく、チフスやコレラなどの感染症に罹っていたから。
このくだりの教訓は、コロナ禍に見舞われた現代にも通じる。
戦地を離れてからは統計学を極め、より効率的な看護法、病院の治療システムの研究に邁進。
自らの名を冠したナイチンゲール看護学校を設立して、当時としては画期的なキリスト教宗派に捉われない方針を貫き、広く門戸を開いて優秀な看護師を輩出した。
あまりにも偉人伝過ぎると感じる向きもあろうが、観ておく価値も意義も高い一編。
ただ、ナイチンゲールが看護師を志した動機が「神のお告げ」の一言でしか説明されていないのが唯一の欠点ですが、これは実際に本人が言い残した言葉だそうだから仕方がないか。
オススメ度B。
A=ぜひ!🤗😱 B=よかったら😉 C=気になったら🤨 D=ヒマだったら😑