噂話・笑い話・思い出話「昔スキンシップ、今セクハラ?」

どんな業種でもそうだろうが、「今あんなことをやったら、セクハラ、パワハラだよな」と、年輩の同業者同士でネタになる昔話はスポーツマスコミにもたくさんある。
最近、昔馴染みのカメラマン氏と1990年代の思い出を語り合っていたとき、彼がこんなことを言い出した。

「取材現場でヒマしてたとき、〇〇さん(某テレビ局の女性キャスター)が、××さん(他社の先輩女性リポーター)に抱きつかれたんですよ。
それで、××さんが〇〇さんに抱きついたまま、面白がって、僕に『撮れ、撮れ』って言うんですよねー」

カメラマン氏によれば、××さんによる〇〇さんの抱きしめ方はなかなか、いや、かなり熱烈だったらしい。
「今だったらセクハラか、見方とか見る人によっては、いっそ性加害と言われるんじゃないですか」と言うほど。

そうでなければ、何かの「プレイ」かと思われるかもしれませんね。
一応、カメラマン氏はその場でシャッターは切ったものの、当然のことながら、その写真は彼の勤務する新聞には掲載されなかった、という以前に、彼が会社に送らなかった。

こんなことを書いたら、昔のプロ野球の取材現場はさぞかしフシダラなところだったと思われるかもしれません。
が、〇〇さんはこういうスキンシップをいつも笑って受け流し、××さんともカメラマン氏とも仲良くやっていました。

あの気さくな性格と周囲を包み込むようなオーラが、〇〇さんを全国区のいわゆる「女子アナ」にしたのかな。
ただ、球場へ取材に行くたび、マスコミ各社のカメラに追い回されることには、さすがにウンザリした表情を見せていたこともある。

そんなとき、くだんのカメラマン氏が〇〇さんに言い聞かせていたセリフがけだし名言。
「〇〇さん、会社(マスコミ各社)を憎んでカメラマンを憎まず! 記者を憎まず! です」

うまいことを言うなあ、と思った僕は、その場ですぐさま、
「そのセリフ、今度から俺も使わせてもらうよ」

そうしたら、傍らにいた某セ球団の投手コーチ□□さんが「赤坂の場合は逆だろ!」
「記者を憎んで会社(当時勤務していた日刊ゲンダイ)を憎まずだ!」とやり込められたのには参りました。

ついでに書いておきたいキャスター〇〇さんの思い出話がもうひとつ。
神宮球場のネット裏で僕が前、〇〇さんが後ろに座って観戦していた最中、突然彼女が僕の肩を揉んでくれたのです。

「先輩、凝ってますねえ」
「そうなんだよ、ありがとう」

しかし、「ああ、気持ちいい」などと言っていられたのは最初だけ。
〇〇さん、実はものすごく指の力が強く、揉んでもらっているときからかなりの痛みを感じ、それでもせっかくだからと我慢していたところ、翌日からしばらくは揉み返しがキツかった。

そんな〇〇さんはほどなくして結婚。
××さん、□□さんもすでにプロ野球の現場を離れて、かなりの年月が経ちます。

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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