実生活で何やかやと面倒臭いことが続き、気分が沈んでいるときは観ないほうがいい映画である。
主演の妻夫木聡も満島ひかりも、こういう陰鬱なミステリーの主要登場人物を演じるとまことに上手いが、それだけに鑑賞後は嚥下し難い〝厭な感じ〟が残った。
主人公・田中武志(妻夫木)は週刊文春や週刊新潮がモデルらしいスキャンダル雑誌の契約ライター。
彼が追っているのは1年前に埼玉県のベッドタウンで起こった一家殺害事件で、これは2000年の暮れ、実際に発生した世田谷一家殺人事件が下敷きになっている。
その田中の妹・光子(満島)は3歳のわが子を虐待し、意識不明の重体に陥らせた容疑で拘置所に収監中。
田中が面会に行くと、光子が田中にベタで闇雲な愛情を示し、にっこり笑って見せる場面が何とも薄気味悪い。
田中が取材して回る殺害事件の被害者一家の関係者は稲大(早大がモデル)、文應(同じく慶應)の同級生ばかりで、彼らの打算に満ちた交友関係が事件の遠因であることが、観ているうちにだんだんわかってくる。
完成度は大変高く、がっちり構成されており、最後の最後まで引っ張られ、どんでん返しにもオチにも納得できるので、面白かったことは面白かった。
が、しかし、あまりに救いようがない内容であることも確かで、観終わったあとに何ともやりきれない気分になりました。
まあ、こういう〝厭な映画〟を観たくなるときもありますけどね。
オススメ度B。
A=ぜひ!🤗😱 B=よかったら😉 C=気になったら🤨 D=ヒマだったら😑