PICUP前項『反則王」と同じ2000年に公開された社会派サスペンスで、主演は同じく若き日のソン・ガンホ。
『反則王』で悪役覆面プロレスラーを演じたと思ったら、こちらでは北朝鮮の軍人を熱演と、早くも芸域の広さを示した作品である。
舞台は韓国軍を中心とする国連軍と北朝鮮軍が共同で管理している38度線の共同警備区域(Joint Security Area)JSA。
1999年、ここで朝鮮人民軍の兵士が韓国軍兵士に射殺されるという事件が起こる。
冒頭で殺人現場をはっきり見せず、隠された真犯人がいることを示唆して物語は進む。
事件の真相を究明するべく、韓国人の父とスイス人の母の間に生まれたスイス軍の女性捜査官ソフィー・E・チャン(イ・ヨンエ)が乗り込んでくる。
しかし、現場で生き残った北と南の兵士の言い分は真っ向から対立。
加えて、捜査官ソフィー自身の出生にもどうやら南北問題にまつわる秘密があるらしい。
最初から40分間は回りくどい上に布石を打ち過ぎた感が強く、見ているこちらの興味が分散してしまう。
もっと謎解きの焦点を絞り込んだほうが締まった作品になっただろう。
ところが、徐々に真相が明らかになり始めてからが面白い。
なるほど、韓国で社会現象と言われるほどのヒットを記録したのも大いにうなずける内容の濃さ、旧作ながら詳細はすべて伏せるので、未見の方はぜひご覧いただきたい。
南北で友情を育む兵士に北朝鮮人民軍オ・ギョンピル中士にソン・ガンホ、韓国軍のイ・スヒョクにイ・ビョンホン。
のちに韓流エンターテインメントに欠かせなくなる彼らもこのころはまだ青臭い印象ながら、その雰囲気がかえって物語の切実さを強めている。
本作が出世作となった監督パク・チャヌクの演出も時に力強く、時に情感を漂わせ、目頭を熱くする観客も多いだろう。
結局、2回見てしまった。
オススメ度B。
A=ぜひ!🤗😱 B=よかったら😉 C=気になったら🤨 D=ヒマだったら😑
旧サイト:2012年01月31日(火)Pick-up記事を再録、修正