徹底した情報管理の下、まったく内容が外部に漏らされないままに公開され、賛否両論を巻き起こしている宮﨑駿の引退作。
僕は10年前の〝暫定引退作〟『風立ちぬ』(2013年)を観に行ってガッカリした記憶があるため、今回は最初からさほど期待せずに鑑賞したところ、そこそこ楽しむことができました。
太平洋戦争中の1944年、主人公・眞人(まひと、山時聡真)は、入院中の母親ヒサコを火災によって失い、父・勝一(木村拓哉)が軍需工場を営む地方へと疎開する。
父はヒサコの妹・夏子(木村佳乃)と再婚しており、彼女はすでに父の子を妊娠していた。
引っ越してきてからたびたび母親の夢を見る眞人は、人間の言葉をしゃべる青鷺につきまとわれ、その青鷺が棲む屋敷の裏の塔に興味を持つ。
そうした中、出産を間近に控えていた夏子が塔へ向かい、姿をくらましてしまった。
夏子を追って塔に潜入した眞人は、そこから異世界へとつながる扉を開き、自分の過去や未来の秘密を知る人たちに会うことになる。
という筋立ては、これまでの宮﨑作品でもお馴染みのアドベンチャー・ファンタジーであり、『君たちはどう生きるか』という吉野源三郎の著書のタイトルともまったく関係がない。
引退作だから好きなようにやってやろう、という一種の開き直りによるものか、ストーリーの展開も八方破れで、何の前触れもないままに話が飛んだり引っ繰り返ったりする。
あちこちに散らばった布石が回収されていないところも多く、レビューで批判している人たちはこのいい加減さにイライラさせられたのかもしれませんね。
宮﨑アニメの集大成として、ファンが納得できる出来栄えに達していると思えるかどうか、は個人差があるでしょう。
僕としては、それなりに楽しむことはできたものの、『君たちはどう生きるか』というタイトルにする必然性は感じられませんでした。
オススメ度B。
A=ぜひ!🤗😱 B=よかったら😉 C=気になったら🤨 D=ヒマだったら😑