インディペンデント映画の登竜門、サンダンス映画祭で2010年度のグランプリと脚本賞を受賞。
第83回アカデミー賞でも作品賞、主演女優賞、助演男優賞、脚色賞と主要4部門にノミネートされている。
舞台はミズーリ州南部のオザーク山脈。
荒涼とした高原の中、ポツンと建つ一軒家に暮らし、17歳で家族の面倒を見ている少女リー(ジェニファー・ローレンス)が主人公だ。
父親は麻薬の製造と密売で逮捕され、拘置所に入ったまま。
母親は精神を病んだ社会不適応者で、幼い弟と妹にはリーが自ら読み書きを教えている。
生活は苦しく、三度の食事の材料にも不自由しており、飼い馬の餌代を隣人の中年女性に借りなければならない。このままでは馬を売らなければならなくなるだろう。
そこへ保安官がやってきて、リーの家が抵当に入っていることを告げる。
父親が拘置所から保釈してもらうため、リーたちの知らぬ間にこの家と土地を保釈金の担保に入れてしまい、自分だけ姿をくらましたというのだ。
もし父親が翌週に迫った裁判に出廷しなければ、家も土地も没収されることになっている。
リーは父親を捜しに出かけるが、頼りにしていた親戚は何故かまったく協力してくれない。
ジャンキーの伯父(ジョン・ホークス)には、逆に父親を捜すなと突き放される。
いったい、父親の身に何が起こったのか。
覚悟を決めたリーは、父親が出入りしていた麻薬の密売グループと接触を図る。
何度も追い返されながら、ようやくボスを思しき老人をつかまえた途端、怪しげな連中に拉致されてボコボコにされ、二度と来るなと血まみれのまま放り出されてしまった。
父親はこの連中に殺されたのではないか。
もし死体がどこかに捨てられているのならそれを発見し、警察の検死でDNA鑑定を受け、父親だと証明してもらった上で、裁判所に提出する必要がある。
そうしないと、自分も家族も来週からホームレスとなって路頭に迷うのだ。
追い詰められたリーには、慰めてくれる恋人も、涙にむせんでいる余裕もない。
タフで、クールに、周囲の大人たちと格闘しながら、諦めることなく父親のいるところにじりじりとにじり寄ってゆく。
ローレンスはいまや大女優だが、個人的には主演デビュー作の本作がベストだと思う。
オススメ度A。
旧サイト:2011年10月28日(金)Pick-up記事を再録、修正
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