この時期になると、毎年のようにCSの映画専門チャンネルで組まれる戦争映画特集は、なかなか観る機会のない埋もれた傑作が放送される、という意味では大変ありがたい。
巨匠・岡本喜八が監督したこの歴史的大作もそんな1本。
昭和天皇(8代目松本幸四郎)と鈴木貫太郎総理大臣(笠智衆)ら当時の閣僚が1945年8月14日正午、御前会議においてポツダム宣言の受諾、即ち太平洋戦争で降伏することを決定。
翌15日に玉音放送が行われるまでの24時間が文字通り「日本のいちばん長い日」となった史実を描いている。
このとき、陸軍省幕僚と近衛師団参謀が降伏は認められないとして武装蜂起。
宮城(皇居)に殴り込み、玉音放送が録音された「玉音盤」を強奪しようとしたいわゆる「宮城事件」を起こしている。
以前から個人的に興味を抱いていた事件であり、真正面から取り組んだ岡本の演出が重厚かつ迫力たっぷりで、大いに見応えがあった。
阿南惟幾陸軍大臣に扮した三船敏郎、畑中健二少佐を演じる黒沢年男の力み過ぎ、島田正吾の森赳中将が首を飛ばされる場面がいささか滑稽に見えるところなど、細かい欠点も多いが、2時間半はあっという間。
原作は半藤利一の同名ノンフィクションで、資料的価値も高く、戦後78年経ったいまだからこそ見直しておきたい作品。
元号が昭和から平成に変わった2015年、現代のスタッフとキャストで制作された原田眞人監督のリメイク版(後日レビューを掲載します)と比較するのも一興だろう。
オススメ度A。
A=ぜひ!🤗😱 B=よかったら😉 C=気になったら🤨 D=ヒマだったら😑
旧サイト:2015年08月15日(土)Pick-up記事を再録、修正