有吉佐和子の同名原作小説、昭和時代屈指の傑作ミステリーとして名高い『悪女について』(1978年/新潮社)を、田中みな実主演でテレビドラマ化した作品。
長年、山田洋次の元で修行を積み、『武士の一分』(2006年)、『おとうと』(2010年)などで共同脚本も務めた平松恵美子が監督・脚本を手がけている。
1978年に発表された原作の主人公・富小路公子は、類稀な機知と才覚、性的な魅力と肉体で次々に男を籠絡し、高度経済成長時代に莫大な財産を築いた「昭和の悪女」だった。
それから45年後の2023年に制作されたこのテレビドラマ版では、バブル経済時代に絶頂を極め、東日本大震災を経験した「今時の悪女」に翻案されている。
先に原作を読んでいる視聴者なら、田中みな実の公子には少なからず違和感を感じるだろう。
しかし、原作の忠実な映像化にこだわらず、原作の持つ力やエッセンスを活かしたリブート版として観れば、これは十分に成功しているテレビドラマと言える。
原作では前面に出てこない著者の分身である作家、梶谷亜弥(木竜麻生)を公子のカウンターパートに据えた構成には賛否両論あるだろうが、僕は上手いアイデアだと思いました。
ただ、前後編89分はやはり短過ぎた印象が強く、全5〜10話ぐらいのスケールで制作するべきじゃなかったか、という憾みは残りますね。
オススメ度B。
A=ぜひ!🤗😱 B=よかったら😉 C=気になったら🤨 D=ヒマだったら😑