『ドラフトキング』(WOWOW)🤗

300分(全10話=各話30分) 制作ROBOT 製作WOWOW
初放送:2023年4月8日〜6月10日(毎週土曜PM10:00〜10:30)

日本には野球を題材とした漫画や劇画は山ほどあるのに、映画やテレビドラマは極めて少ない。
ドキュメンタリーは別として、フィクションの映像作品となると、本場アメリカはもとより、近年では韓国にも大きく遅れを取っている、というのが個人的印象だ。

そうした中、やればできるじゃないか(上から目線ですみません)、とひとりうなずいて膝をたたきたくなったのが、WOWOW〈連続ドラマW-30〉枠で放送されたこの作品。
高校野球経験者で、数多くの野球漫画を描いているクロマツテツロウの同名コミックの実写ドラマ化版である。

主人公のスカウト・郷原眼力(ごうはらオーラ=ムロツヨシ)は1年契約のベテラン、後輩の新人スカウト・神木良輔(宮沢氷魚)は正社員として雇われた元選手。
彼らの周囲を固めるスカウトたちには部長・下辺陸夫(でんでん)、飯塚健(平山祐介)など、いかにも現実離れしていて漫画チックなキャラクターがそろっている。

それでも、このドラマがリアリティーたっぷりに感じられるのは、実際の野球界を彷彿とさせる筋立てに加えて、美術、衣装、エキストラに野球経験者を配したディテールが優れているからこそだ。
スカウトたちが所属しているのはDeNAをモデルとした「横浜ベイゴールズ」で、彼らが足を運ぶ高校、大学、社会人のチームもどこかで見たようなユニフォームや球場を使用。

試合や練習にゾロゾロと登場するセリフのない選手の動きも、一目見て野球経験者だとわかり、これがドラマ全体の雰囲気に厚みを与えている。
ドラフトにかけられる高校球児では、最後のエピソードに登場する石垣商工の仲眞大海(なかまオーシャン=兵頭功海)、照屋勉(福松凛)のキャラクターが出色。

野球好きなら観ておいて損はない。
なお、原作漫画が掲載されているグランドジャンプでは以前、僕が原作、クロマツ氏が作画で読み切り漫画を作ったことが一度だけありました。

オススメ度A。

A=ぜひ!🤗😱 B=よかったら😉 C=気になったら🤨  D=ヒマだったら😑

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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