PICKUP前項『「仮面」に魅せられた男たち』の著者コンビが、『宇宙戦艦ヤマト』のプロデューサー西崎義展の生涯を描いた8年前のノンフィクション。
すでに文庫版が発売されているが、単行本が出た当時、旧サイトに掲載したレビューを再録しておきます。
『宇宙戦艦ヤマト』には1974年テレビ初放送の第1シリーズで熱狂し、1978年の続篇『ヤマト2』で失望し、それでもダラダラと1983年の映画『完結編』まで付き合ったクチである。
当時からプロデューサーの西崎義展には騙されたという思いが強く、2010年に75歳で溺死したと聞いても大した感慨も湧かずにそれっきり忘れていたのだが、こういう本が出たと知ったときは真っ先に手に取った。
奥付を見ると初版が2015年9月8日で、1カ月と経たないうちに増刷されている(羨ましい)。
A先生のように、ナニ、あの〝詐欺師〟西崎の評伝? どれどれ、と我も我もとネットでポチッとやった読者がさぞかし多かったのではないか(という私は紀伊国屋書店の新宿本店で買いました)。
ショービジネスの世界で背負った億単位の借金、自ら売り込んで虫プロ入りしてからの独断専横ぶり、ドケチに徹する一方で、遊ぶときや勝負に出るときは目の眩むようなカネを湯水のように使いまくる。
利用できる人間は徹底的に利用し、落とそうと狙った女にはこれまた億単位のゼニを注ぎ込んで、とにかく猪突猛進、ガソリンを入れたら入れただけ目一杯エンジンを吹かしまくり、最後は海にドボンと落ちて逝ってしまった。
主たる著者の牧村康正はぼくより10歳年上で、山口組を20年以上に渡って取材した経験を持つフリージャーナリスト(共著者の山田哲久は証言者として協力している元オフィス・アカデミー社員=元西崎の部下)。
西崎に対して大変厳しく、暴露的かつ批判的に様々なエピソードを綴りながら、それでも西崎がどこの大手テレビ局や映画会社にも頼らない独立したプロデューサーであったことだけはきちんと評価している。
一緒くたにするわけではなく、まったく違う分野の人間であることを承知の上であえて言うなら、個人的には日刊ゲンダイの元社長・川鍋孝文さんを思い出した。
やはり、エンターテインメントの世界もマスコミ業界もキチガイじみたカリスマがいないと面白くなりませんね。
旧サイト:pick-up2016年06月27日(月)付記事を再録、修正
😁😢🤣😳🤔🤓
面白かった😁 感動した😭 泣けた😢 笑った🤣 驚いた😳 怖かった😱 考えさせられた🤔 勉強になった🤓 ほっこりした☺️ 癒された😌 腹が立った😠 微妙だった😥 しんどかった😖 ガッカリした😞