『たまゆら~hitotose~』(BS松竹富士)🤗

312分(全13話、各話24分、特別編含む)
佐藤順一・TYA、たまゆら製作委員会
AT-X、テレビ新広島、tvk、サンテレビほか 
初放送:2011年10月7日~12月19日
(画像はJR竹原駅前の観光案内所)

竹原はこれまでにも何度か映画、ドラマ、テレビCMの舞台となってきたが、最も影響力が大きかったのはやはりこのアニメだろう。
安芸の小京都と呼ばれるわが故郷の町並みに、写真家志望の主人公・沢渡楓(さわたり・ふう 呼び名:ぽって/声:竹達彩奈)たち女子高生の日常生活を重ね合わせた名作である。

ただ、僕自身はお目々キラキラの少女を主役にした佐藤順一(代表作『美少女戦士セーラームーン』テレビ朝日、1992〜97年)の作風に食わず嫌いを決め込んでいたため、きちんと観たことが一度もなかった。
しかし、高齢の両親の具合が悪くなり、竹原へ毎月帰省している昨年来、地元の友人やタクシー運転手から再三本作の話を聞くようになった。

やっぱり、竹原を全国区にしてくれたんは『たまゆら』ですよ。
あのアニメが放送されたあと、『るろうに剣心』シリーズ(2012年~)、NHKの連ドラ『マッサン』(2014~15年)、嵐のJALのテレビCM(2019年)のロケがドドッと続いたんじゃけえ。

そう言われて、自転車で竹原駅周辺を流してみると、観光案内所(上の画像)をはじめ、『たまゆら』とタイアップしたポスターや看板がやたらと目につく。
僕がそういうものばかりスマホで撮影していると、どこにどんな『たまゆら』関連のスポットがあるか、教えてくれる人もいました。

和菓子店〈末広堂〉
アーケードの吊り看板はすべて『たまゆら』に登場する想像上の動物「ももねこ様」
記念撮影スポット「ももねこ様」像の横にはおみくじガチャもあります
マンホールの蓋にも楓が

実家のテレビのHDには『たまゆら』の熱烈なファン、Kis-My-Ft2の宮田俊哉が竹原を訪れたNHK番組『アニメ聖地旅 竹原~広島「たまゆら」の舞台へ~』(NHK総合広島放送2022年1月29日、全国放送同年4月4日)の録画が残っていた。
こういう録画をするのは、当時まだまだ元気だった父親の役目である。

ただ、僕は両親と『たまゆら』の話をしたことは一度もなく、最近になって母親に聞いても、「テレビ放送の途中から観とったぐらいしか覚えてないね」という。
僕自身、昨年1月、BS松竹富士で第1期『~hitotose~』の放送が始まって録画していたときも、両親の体調が急激に悪化したため、第6話以降はしばらく観られないままだった。

そこで今回は、帰省する前夜に改めて後半の録画をしっかり観ておくことにした。
そうしたら、実質的最終話、第12話の終盤にわが実家が描かれてあることを知って仰天。

楓が同級生たちと一緒に先輩・塙さよみ(呼び名:さよみん、声:大原さやか)の運転する車で朝日山に初日の出を見に行こうとして、賀茂川土手の道で転落しそうになる。
おかげで朝日山に登ることができなくなり、楓たちは土手道で初日の出を迎えるのだが、楓がその記念写真を撮っている最中、感極まって泣き出してしまう。

このシーンの背景に、いま僕がこの文章を書いている実家、父親が40年以上前に建てた一戸建ての二階家が、ほぼ正確に描かれていたのです。
アニメなのだから、町並み保存地区のような古式床しい家屋に描き代えてもよかったはずなのに、屋根や壁の色、雨戸の位置など、そっくりそのまんま。

この場面をプリントしたものを母親に見せたら、「お父さんが建てた電信柱まで描いてあるわ」と随分感激(?)していました。
その電信柱はアマチュア無線が趣味だった親父が庭の片隅に自ら建てたもので、こんなもんこそ、削除するか、描き直してもよかったはずなのに、なぜそのまま描いてあるのか。

差し障りがあるので、実家が直接描かれた場面はアップしません。
初日の出の場面では、手前の建物の位置が見映えがいいように変更されていることを、以下の画像でご確認ください。

『たまゆら』の初日の出
山並みはほぼ同じですが、手前の建物のレイアウトはかなり違う
(2022年1月1日AM7:36撮影)

アニメとしては、こういう現実からの変更は当たり前のはず。
それなのに何故、昭和チックなわが実家の外観がほぼホンモノのまま残されたのか、機会があったら佐藤順一さんに聞いてみたいですね。

オススメ度A。

A=ぜひ!🤗😱 B=よかったら😉 C=気になったら🤨  D=ヒマだったら😑

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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