『ゲット・アウト』(2017年)、『アス』(2019年)と、黒人差別をテーマにした社会派ホラーで一定の地位を築いたジョーダン・ピールの劇場公開最新作。
今回も監督、脚本、製作と1人3役を務め、『ゲット・アウト』の主人公を演じたダニエル・カルーヤと5年ぶりにタッグを組んでいる。
時代設定は現代より10年ほど昔で、舞台はロサンゼルスに程近い南カリフォルニアの田舎町。
ここでハリウッド・ヘイウッドという牧場を営み、テレビ番組撮影用の馬の貸し出しと調教を請け負っていたオーティス・ヘイウッド・Sr.(キース・デイヴィッド)が突然、空から降ってきたコインのような金属片に頭を貫かれて死んでしまう。
代わりに息子のオーティス(カルーヤ)が撮影用の調教をすることになるが、本番中にテレビ局スタッフのミスによって馬が暴れ出し、責任をなすり付けられて解雇。
生活費を稼ぐため、仕方なく妹エメラルド(キキ・パーマー)と共に〈ジュピターズ・クレイム〉というウエスタン・テーマパークを訪ね、ラッキーという馬を売却する。
馬を買い取ったパークのオーナー兼クリエイター、リッキー・”ジューブ”・パーク(スティーヴン・ユアン)は、かつてテレビ番組『ゴーディズ・ホーム』の人気を博した子役だった。
この番組の2シーズン目で主人公のチンパンジー「ゴーディ」が血生臭い事件を起こしたことが語られ、このへんからピールならではの不気味な雰囲気が増していく。
ただし、この事件の裏側に何か重大な秘密があり、クライマックスへとつながる鍵になっているのかと思ったら、意外にそうでもない。
最終的に姿を現す〝怪物〟はネタバレのポスターからもわかる通り、空からやってきてジューブやパークの観客に襲いかかるのだが、なかなか正体を見せないもったいぶった描写が長過ぎる。
ちょっと興味深いのは、序盤でエメラルドが「歴史上最初の映画に出演したスターは黒人だった」とテレビ番組の白人スタッフに主張する場面。
「なぜなら、乗馬シーンを映した2秒の映像で馬に乗っていたのは黒人だったから」というのだ。
現代ではその歴史的事実がまったく省みられていない、というところに本作のボトムのテーマがあるらしい。
しかし、それ以前にホラー映画としてはまるで怖くなく、いささか冗長だったという印象が先に立ちました。
オススメ度C。
A=ぜひ!🤗😱 B=よかったら😉 C=気になったら🤨 D=ヒマだったら😑