「巨人を観ずに、めしが食えるか」というコピーを覚えていますか⚾

JR水道橋駅のプラットホームに貼られたBS12のポスター

まだ巨人戦が毎試合地上波テレビで中継されていた1992年、日本テレビがオールドファンの心をくすぐる番宣ポスターを作った。
梶原一騎、川崎のぼるの劇画『巨人の星』に登場する頑固親父・星一徹が卓袱台を引っ繰り返した画に、「巨人を観ずに、めしが食えるか」というキャッチコピー。

当時の巨人戦には『劇空間プロ野球』というタイトルがついていて、これに星一徹の顔といかにも一徹が言いそうなコピーがピタリとハマっていた。
まだ携帯電話がいまほど普及していなかった時代、僕は日テレに勤めていた友人にこのコピーが入ったテレホンカードをもらった記憶がある。

このシーズンの巨人は開幕ダッシュに失敗し、序盤こそ最下位に転落したものの、そこから巻き返してヤクルト、阪神と壮絶な優勝争いを展開し、『劇空間プロ野球』を地でいく戦いを見せてくれた。
確か、この日テレのポスターはJR水道橋駅の構内にも貼られていたはずだ。

あれから31年、いま同じ水道橋駅のプラットホームには、BS12(トゥエルビ)の『パ・リーグ公式戦50試合生中継』のポスターが貼られている。
キャッチコピーは「感動も、興奮も、涙も。パ・リーグには心動かすドラマがある」。

きょうのスタメンと審判

正直、広告としての出来栄えは日テレのほうが上だと思います。
しかし、パ・リーグに引き替え、いまの巨人は悲しいかな、「心動かすドラマ」に乏しいよな、と感じさせることも否定できません。

最近の巨人は2019、20年と2年連続、日本シリーズでパ・リーグの覇者ソフトバンクに0勝4敗で敗退。
以後、セ・リーグでも優勝から遠ざかり、今春日本全国を熱狂させたWBCでも、侍ジャパンの主役を務めたのはほとんどメジャーリーガーや他球団の主力選手だった。

オレンジ色の橙魂ユニホームが配布される今回のDeNA戦も、観衆はきのうが4万71人、きょうが3万4298人と大入り満員には及ばず。
かつてはこのユニホームをゲットするために、札止め4万5000人超のファンが詰めかけたこともあったんですが。

…などと御託を並べていたら、今夜の巨人-DeNA戦では戸郷と石田が素晴らしい投手戦を展開。
最後は原監督に「エース」の称号をもらった戸郷が今季初の完封勝ちを収めました。

ちなみに、DeNAがひとりの投手に完封負けを喫したのも今季初。
明日もスリリングな好ゲームを期待しましょう!

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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