タイトルからしてグダグダな映画なんだろうなあ、と思いながら観始めたら、やっぱりグダグダな映画だったが、こういう映画はそのグダグダぶりが面白かったりする。
実際、あまりに安っぽくて苦笑したくなる場面の連続なのに、それが逆に楽しくて最後まで観てしまった、という人も多いでしょう。
オープニング、砂漠の地下に建設された遺伝子改造研究所で、巨大化したクモが暴れ出し、研究員を皆殺しにしてしまう、という出だしからして、演出が生ぬるく作り物感丸出し。
巨大なクモはいかにもハリボテチックだし、床を這う小さなクモは粗製CG感いっぱいだし。
一応、犠牲になった研究員を救出に向かった民間レスキュー隊が、先に研究所に潜入していた謎の傭兵部隊と一戦交える、といったアクションシーンの見せ場もあることはある。
でも、観終わるころには何がどうなったのか、さっぱりわからない、というか、観ているうちにどうでもよくなってしまう。
そこで思い出したのが、ネタもタイトルも、ついでに言えばチープ感もそっくりな48年前のアメリカ映画、この『ジャイアント・スパイダー 大襲来』。
かつて洋泉社MOOK映画秘宝シリーズ『あなたの知らない怪獣㊙︎大百科』(1997年)で映画ライター・山田誠二氏に「その作品のビデオが、たとえ道に落ちてても拾わない! と、全世界のSF・特撮映画マニアに断言させた」とまで書かれた超グダグダ映画である。
「巨大蜘蛛は、実物大のモデル(ハリボテ)で処理。
劇中ほとんど動かず、移動のときは小型トラックを中に入れて、タイヤ丸出しでノロノロと発進。
その前を、笑ってるエキストラが逃げ回る。
(舞台はアメリカ北部の農村・ウィスコンシン州メリル)なのにポスターには、大都市のビル街で大暴れする巨大蜘蛛のイラストが」
ところが、ここまでボロクソに書かれた映画が、アメリカではスマッシュヒットとなり、その後も繰り返しテレビ放送されてカルト化。
日本でもファンが増え、2019年に〈超・特別版〉としてビデオソフト化されると、そこそこ売れているという。
さては、中国のスタッフも2匹目のドジョウを狙ってわざと安っぽく作ったのか…どうかはわかりませんが、少なくともアメリカ版を観ているのは間違いない、と思います。
さて、中国版はカルト化するかな???
オススメ度C。
A=ぜひ!🤗😱 B=よかったら😉 C=気になったら🤨 D=ヒマだったら😑