『エクソシスト ディレクターズカット版』(WOWOW)😱

The Exorcist
133分 2000年 アメリカ=ワーナー・ブラザース・ピクチャーズ
オリジナル劇場公開版:1973年 日本公開:1974年

先月1日、そろそろ休もうかとウトウトしていた夜9時(トシですね)、突然WOWOWでの初放送が始まったので、慌てて録画したついでに最後まで観てしまった。
この映画、それほど面白く、興味深く、もちろん怖くて、年齢によって様々な見方ができる傑作だと思う。

今回、改めて身につまされたのは、デミアン・カラス神父(ジェイソン・ミラー)が年老いた母メアリー(バシリキ・マリアロス)を老人病院に入れて良心の呵責に苛まれるくだり。
悪霊パズズに取り憑かれたリーガン・マクニール(リンダ・ブレア)が、カラスがエクソシズム(悪魔祓い)を始める前、「なんで私をこんなところに入れたの?」と母親の声で責める場面がたまらない。

監督のウィリアム・フリードキンは本作を監督するに当たり、観客がどのような演出や描写に恐怖感や不快感を感じるか、徹底的にリサーチしたという。
撮影現場にライフル銃を持ち込み、何度も空砲をぶっ放して、俳優たちを震え上がらせながら演出していた、というのも映画ファンには有名な話。

リーガンの寝室のセットを巨大な冷蔵庫で囲んで徹底的に冷やし、ベッドに半裸のリンダを縛り付けて撮影して、「死ぬかと思った」とリンダ本人が劇場公開30周年DVD版の特典映像で証言している。
そうした演出によってただならぬ緊張感を醸し出している半面、よくある音楽やカットバックによる怖がらせ方をフリードキンは一切排除している。

しかし、このディレクターズカット版で追加された”スパイダーウォーク”だけは、いかにも安っぽいホラー映画のようで感心できなかった。
全体的な出来栄えとしては、122分の劇場公開版のほうが締まった印象を与えるという意味で、このディレクターズカット版より上だったように思う。

ところで、本作撮影当時、カラス神父役のミラーは32歳、ランカスター・メリン神父役のマックス・フォン・シドーは47歳だが、当時も今もとてもそんなに若くは見えない。
どちらも実際の年齢より一回りは上のように感じちゃうのはA先生だけでしょうか。

オススメ度A。

A=ぜひ!🤗 B=よかったら😉 C=気になったら🤨  D=ヒマだったら😑

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
先頭に戻る