神宮へオープン戦の取材に行き、WBCの〝毎分最低視聴率〟について考える📺⚾️

神宮球場、試合前の光景

侍ジャパンが決勝でアメリカをくだし、優勝した瞬間は、神宮球場の記者席のテレビで見ていました。
きょうは2回に日本が勝ち越し、最後までリードを保っていたからか、逆転サヨナラ勝ちしたきのうの準決勝メキシコ戦のように、グラウンド上の選手たちから大歓声があがる、ということはなかった。

その準決勝のテレビ中継(TBS)、関東地区の世帯視聴率は以下の通り(ビデオリサーチ調べ)。

7:00~8:25 平均23.1% 瞬間最高41.8%(8:22)
8:25~12:00 平均42.5% 瞬間最高47.7%(11:44、11:45、11:47=村上の逆転タイムリーでサヨナラ勝ちの場面)

平均40%超えは6試合連続。
以上の数字だけでも十分スゴいが、某テレビ局の先輩によると、放送業界関係者が最も驚いたのは「毎分最低視聴率」だそうです。

「この毎分最低視聴率が、10:16の39.2%なんだよ。
イニングチェンジのCMタイミングだと思うけど、その間もほとんどの視聴者がチャンネルを変えなかったわけだね。

実際、毎分のグラフを見ると、その10:16以外は基本的に40%超えとなっている。
おかげで、裏番組は数字を食われまくりだった。

とくに、10:30~11:30は平均で2%に達した裏番組がゼロ。
いろんな番組が過去最低視聴率を記録しちゃって、一番低い番組は1%にもとどかず、0.5%どまりだったほどだよ」

いやあ、「0.5%」なんて視聴率は初めて聞いた。
単純計算すると、100人に1人も見ておらず、200人に1人見ているかどうかだから、番組を制作している人たちにとっては大変なショックだったでしょうね。

ちなみに、TBSが夜に急きょ放送したダイジェストの再放送(19:00~20:57)も平均19.8%、瞬間最高29.2%。
再放送ですら、ごくたまに放送される巨人戦の地上波中継をはるかに上回り、NHK大河ドラマ『どうする家康』をもしのぐ数字なのである。

しかし、これだけ盛り上がったから野球自体の人気が復活した、と言えるかどうかは疑問。
これはあくまでWBCという野球の世界一を決める大イベントで、そこに大谷翔平がいたから全国的、全世代的な興味と期待が集まったのではないか。

いやいや、そもそも野球が日本国民にとって馴染み深いスポーツでなければ、これほど驚異的な視聴率を稼ぐことはできなかったはずだ、という見方もちろんできる。
とすれば、日本中にWBCの余韻や余熱が残っている間、国内のプロ野球も、ファンを惹きつけ、楽しませ、熱くさせる野球を見せられるよう努力しなければなりません。

そんなことを考えながら見ていたきょうのオープン戦は、ヤクルトの先発投手・小沢怜史(25、8年目)が5回1安打無失点と、とりあえず結果を出した。
一方、DeNAの先発・浜口遙大(28、7年目)は同じく5回無失点でも、5安打4四球で毎回走者を出し、得点圏に進まれること4度とピリッとせず。

また、ヤクルトは村上、DeNAは牧が不在と、どちらも侍ジャパンに4番を取られているとはいえ、両チームとも打線が湿っているのも気になりました。
もっと頑張ろう、日本プロ野球!

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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