「これは巨人軍として、人間としてやらなければいかん。
それができないのなら、部数が100万部あっても、1000万部あっても、読売新聞は解散したほうがいい!」
平成2年(1990年)4月4日、ホテルニューオータニで行われた巨人軍激励会で、務台光雄・読売新聞社代表取締役名誉会長(故人・当時92歳)の怒声が響き渡った。
務台氏は新聞界で「販売の神様」と称され、現在の渡辺恒雄・読売新聞グループ本社取締役主筆以前に「読売のドン」と呼ばれた人物である。
この年の開幕前、巨人は桑田真澄・現巨人ファーム総監督にまつわる諸問題に揺れていた。
数億円規模の不動産ビジネスへの関与、反社会勢力の疑いがある人間との交際が発覚し、桑田は巨人から謹慎1カ月、罰金1000万円と、極めて厳しいペナルティーを受けた。
さらに、吉国一郎コミッショナーは、選手への教育や指導を怠った巨人にも責任があるとして、正力亨オーナーを戒告。
川島廣守・セ会長(現在は消滅)にも報酬月額10分の1を2カ月間減俸とする処分を下している。
巨人と桑田が一般社会からも批判を浴びている最中、親会社・読売新聞のトップは巨人軍激励会でどう釈明するのか。
興味津々で取材に訪れたわれわれ報道陣が控室で待機していると、最初に当時の副社長・渡辺氏が挨拶に立ち、一連の問題を報じたマスコミを批判し始めた。
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