読売新聞グループ代表取締役主筆・渡辺恒雄氏の〝業績〟が、最近ふたたびクローズアップされている。
NHKのドキュメンタリー番組『BS1スペシャル 独占告白 渡辺恒雄』(2020年)が再放送され、内容を書籍化したノンフィクションも新たに発売された。
その渡辺主筆が〝巨人のドン〟として君臨するようになったころ、読売新聞主催の巨人軍激励会の挨拶で読み上げた原稿(B4コピー用紙5枚)が、筆者の手元にある。
平成4年(1992年)4月1日、ホテルニューオータニの壇上で、渡辺氏は藤田元司監督以下、巨人の首脳陣、選手たちを前にこうぶち上げた。
「今年、諸君が優勝してくれれば、十億円選手を作りましょう。
ただし、これは今日が四月一日であることを考えて下さい」(原文ママ、以下同)
こう言って、「今日は失言しないよう、原稿をワープロで打ってきたんだ」とアドリブで補足。
会場の笑いを誘うと、ふたたび真面目な顔つきに戻ってこう原稿を読み続けた。
「しかし以下はエイプリル・フールではありません。
本当に優勝すれば一億円選手を何人作ってもよい。
桑田君は二十勝などといわず、二十五勝したら三億円出そうではありませんか。
原君もホームランを四十本打ってくれたら三億円出そう」
この激励会は渡辺氏が読売新聞社社長、イコール〝巨人のドン〟となってから初の公の場。
面白おかしく報じられないようにと用心したらしく、原稿にはこんな一節が盛り込まれていた。
「私は、諸君に対し、多少きびしい言葉を使ったため、スポーツ新聞に、放言、暴言、爆弾発言等と書かれ、なかには『吠えた』などと見出しをつけられました」
われわれ報道陣に配布された原稿のコピーは、その次の1行が黒く塗り潰されていた。
が、今時の役所の〝のり弁文書〟とは違い、サインペンで上書きしただけなので、いまでもその下の文章がはっきりと読み取れる。
そこに何と書いてあったかというと…、
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