劇場公開当時、アラン・ドロンとジャン=ポール・ベルモンドが『ボルサリーノ』(1970年)以来、28年ぶりに共演して大きな話題となった作品。
ただし、『ボルサリーノ』が青春映画の要素を加味した正統派のギャングものだったのに対し、本作はだいぶコメディの味付けが強い。
高級車専門の自動車泥棒だったアリス(ヴァネッサ・パラディ)が刑務所から出所し、服役中に亡くなった母親の遺言テープを聴いて、自分の父親かもしれない男がふたりいることを知る。
そのひとりが高級レストランのオーナーながら、実は大泥棒という裏の顔を持つジュリアン(ドロン)、もうひとりが現在は外車ディーラーだが、元外人部隊の指揮官という過去のあるレオ(ベルモンド)。
ふたりが我こそは真の父親だと張り合っている最中、アリスがまた自動車泥棒に走り、盗んだのがロシアン・マフィアの車だったことから、ギャングに捕まって拉致されてしまう。
愛しい娘を救い出すため、ジュリアンとレオが銃を手に取る場面で、懐かしや『ボルサリーノ』のテーマ曲がかかるのがオールドファンにはうれしい。
引退したドロンも他界したベルモンドも、現役感を感じさせてくれる最後の映画だったかもしれない。
ラストも、ビターな幕切れだった『ボルサリーノ』とは対照的に、こうするしかないだろうと察しられても、ほっこりさせてくれる納得のオチがついている。
オススメ度B。
A=ぜひ!🤗 B=よかったら😉 C=気になったら🤨 D=ヒマだったら😑