大ヒットして高評価と絶大な支持を得た『ゲット・アウト』(2017年)の系譜に連なる黒人差別をテーマとしたホラー・サスペンス映画。
『ゲット・アウト』のプロデューサーだったショーン・マッキトリックが本作の製作も務めている。
開巻、南北戦争開戦間近のルイジアナ州にある綿花農場で、黒人女性エデン(ジャネール・モネイ)が南軍のジャスパー司令官(ジャック・ヒューストン)に虐待される姿が描かれる。
激しく殴打されたり、腰に焼印を押されたり、胸が悪くなるような描写が40分近く続いたあと、スマホの着信音をきっかけに場面が現代へジャンプ。
こちらの主人公ヴェロニカ・ヘンリーはエデンとは打って変わって、黒人差別や女性差別、多様性を受容する社会をテーマに活動している女性作家。
エデンと同じジャネール・モネイが同一人物とは思えないほど巧みに演じていて、エデンはヴェロニカの夢の中の存在なのか、それとも現実に存在しているのか、大詰めを迎えるまで判然としない。
やがて、一見セレブのようなヴェロニカも、講演のために泊まったホテルの最高級スイートでは部屋の掃除をしてもらえず、フロントやレストランの対応もどこかぞんざいで、〝見えない差別〟を受けていることがだんだんわかってくる。
これ以上はネタバレになるので詳細に書くのを控えるが、南軍の軍人たちによる黒人奴隷の虐待、現代に残る南軍のロバート・E・リー将軍の銅像なども登場し、黒人の白人に対する怒りはヒシヒシと伝わってくる。
ただし、単純に娯楽映画として鑑賞しようとすると、タネ明かしがいささかもったいぶっているように感じられるのも確か。
個人的には、エンディングでもう少しホッとさせてほしかったですね。
オススメ度B。
A=ぜひ!🤗 B=よかったら😉 C=気になったら🤨 D=ヒマだったら😑