『必殺仕掛人』(1972〜1973年)から始まった〈必殺シリーズ〉が今年50周年を迎えたのを機に、最も初期からシリーズを支えてきたスタッフ30人にインタビューした集大成的回顧録。
エンタメ系のルポルタージュ、テレビドラマシリーズの内幕ノンフィクションとして、これほど面白い作品は記憶にない。
必殺シリーズ生みの親であるプロデューサー陣、山内久司、仲川利久、櫻井洋三のインタビュー、シリーズで主役の殺し屋を演じた俳優たち、緒形拳、藤田まこと、三田村邦彦らについての記事なら何度か読んだことはある。
しかし、本作に登場するのは帯にある通り、撮影、照明、録音、美術など、黒子のスタッフがほとんど。
だから最初は手を出すのを躊躇っていたのだが、これがいざ読み始めたら滅法面白く、なかなか途中でやめることができない。
ひとりのインタビューが終わったらまたひとりと、次々にページをめくらずにはいられなくて、発売3日で重版となったのもうなずける(僕が購入したのも第2刷)。
必殺シリーズに関するレポートや考察はこれまで、プロデューサーや俳優、深作欣二、工藤栄一、三隅研次、貞永方久など、監督の視点から語られたものが多かった。
が、そもそも必殺を必殺たらしめていたものは何かと言えば、脚本、演出、演技、音楽もさりながら、あの逆光を多用したアングル、役者の顔の上下を切ってクローズアップした独特の絵作りにある。
あの必殺ならではの「光と影」の映像世界はどのようにして構築されたのか、本書ではまず、初期に撮影を担当し、現在は監督となっている石原興がたっぷりと語ってくれる。
ここで本書の世界観にハマると、以降のインタビュー記事にも、ああ、あのシーンはこうして撮っていたのか、そこにはこんな苦労があったのかと、いちいち驚き、うなずいて、感心させられるエピソードが頻出。
スタッフが明かす緒形拳、山﨑努、藤田まことの素顔やキャラクターも実に興味深い。
巻末には念仏の鉄を演じた山﨑努のスペシャルインタビューが収録されており、これが石原興をはじめとするスタッフの証言と符合する内容になっている。
というわけで、念仏の鉄ファンの読者は、先にこのインタビューを読まないように。
最初から順番に読み進めて、最後に念仏の鉄の裏話を読んだほうが、確実に面白く、絶対に感動できますからね。
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