『ダ・ヴィンチは誰に微笑む』(WOWOW)😉

The Savior for Sale
100分 2021年 フランス 日本配給:ギャガ

レオナルド・ダ・ヴィンチが自ら筆を取って描いた最後の傑作と言われた絵画『サルバトール・ムンディ』(世界の救世主)の真贋をめぐるドキュメンタリー。
2017年11月、ニューヨークのクリスティーズで行われたオークションで、当時の日本円にして510億円という史上最高額が付けられたことから、世界中のメディアが注目する大騒動が持ち上がる。

最初にこの絵を市場に出したのはニューヨークの美術商で、彼は2005年4月にルイジアナ州の小さなオークションサイトでこれを発見した、と主張。
当時の日本円で13万円で手に入れた美術商は、作品の細部を検証し、ダ・ヴィンチが自ら描いた真作に違いないと考える。

もし本物なら歴史的大発見だというので、世界的権威を誇る美術館のひとつ、ロンドンのナショナル・ギャラリー(僕も行ったことがあります)が展示を目的として専門家に鑑定を依頼。
ダ・ヴィンチの弟子が描いたニセモノだと指摘する鑑定士もいたが、ダ・ヴィンチ本人によるホンモノに間違いないと主張する学者の主張がナショナル・ギャラリーに認められ、『サルバトール・ムンディ』はいったん美術界のお墨付きを得た。

その後、この絵が突然クリスティーズのオークションに出品され、競売に参加するつもりだったのか、世界的俳優レオナルド・ディカプリオも出席。
510億円で落札した人物の正体は程なくして明らかになり、最も数多くのダ・ヴィンチ作品を所蔵するルーブル美術館の展覧会において、『モナ・リザ』の隣に展示するプランが持ち上がる。

しかし、その前に贋作疑惑をもう一度検証すべきだとして、秘かにフランス政府が調査に乗り出し…というこの先はネタバラしになるので書けませんが、いったいどういう結論が出るのかと、最後まで目が離せない。
名画と市場価格にまつわるミステリーは多いけれど、歴史的にも経済的にもスケール的にも、この『サルバトール・ムンディ』が一番でしょうね。

オススメ度B。

A=ぜひ!🤗 B=よかったら😉 C=気になったら🤨  D=ヒマだったら😑

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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