1980〜90年代に『エルム街の悪夢』シリーズ(1984〜1994年)でブレークしたホラーの巨匠ウェス・クレイブン監督の代表作『スクリーム』シリーズ(1996年〜2011年)の最新作。
このシリーズはホラー、コメディ、青春映画をブレンドした独特のテイストが売り物で、第1作『スクリーム』(1996年)で高校生だった主要登場人物3人、シドニー・プレスコット(ネーヴ・キャンベル)、デューイ・ライリー(デヴィッド・アークエット)、ゲイル・ウェザーズ(コートニー・コックス)の成長ぶりが見どころのひとつだった。
『スクリーム2』(1997年)ではシドニーが高校生から大学生、『スクリーム3』(2000年)ではさらに社会人へ成長し、11年後の『スクリーム4:ネクスト・ジェネレーション』(2011年)では地元ウッズボローの警察官ライリーと地元テレビ局のリポーター・ゲイルが結婚(アークエットとコックスは当時実生活でも結婚していた)。
かつての“熱血ホラー探偵団”もそろそろ中年にさしかかった哀愁を漂わせていた4年後、クレイヴンが脳腫瘍で他界し、このシリーズも終了かと思われた。
ところが、様々な経緯を経た2020年、ホラーコメディ『レディ・オア・ノット』(2019年)で注目を集めた制作会社〈レディオ・サイレンス〉のマット=ベティネッリ・オルピン、タイラー・ジレットが監督を務め、同作のシナリオを手がけたジェームズ・ヴァンダービルトが脚本を書いてシリーズ第5作の撮影がスタート。
前作から10年も経っているので、主要キャストを入れ替えてリブート版にするのかと思ったら、シドニー、デューイ、ゲイルの3人がまったく同じキャラクターとして登場する。
オープニングはこれまでの4作と同様、ヒロインに電話がかかってきて、猫撫で声で「ハロ〜」とささやいた殺人鬼(この声も前作までと同じロジャー・L・ジャクソン)がホラー映画に関するクイズを出す、というお馴染みのパターン。
本作で電話を受けるのはシドニーではなく、新たな主要キャラのタラ・カーペンター(ジェナ・オルテガ)で、早速ゴーストフェイスに襲われるが、ナイフで腹を切りつけられながらもかろうじて難を逃れる、というご都合主義ぶりも変わっていない。
主人公の仲間内に真犯人がいる、というこのシリーズお約束の設定もしっかり踏襲しており、前作は少々無理矢理な感もあったが、本作は一応納得できるように作られている。
クライマックスではシドニーも過去作を彷彿とさせる活躍を披露していて、どうやら彼女とゲイルは続編『スクリーム6』(仮題)にも出てくるらしい。
第1作から観ていないファンにはわかりにくい部分もあるだろうが、シリーズのツボを押さえたリビルド(再構築)版としては大変秀逸な出来栄えと言っていいでしょう。
若いファンにも評判はよかったようで、世界興収1億4000万ドルを記録し、来年3月31日には次回作がアメリカで劇場公開されることも決まっているという。
しかし、この第5作は日本では劇場公開されず、今年5月25日にブルーレイとDVDが発売されるビデオスルーにとどまったのだからもったいない。
このシリーズ、日本ではそんなにウケてないのかな。
オススメ度A。
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