『広島仁義 人質奪回作戦』(WOWOW)🤨

90分 1976年 東映 

前項『孤狼の血 LEVEL2』(2021年)のWOWOW初放送に合わせてオンエアされた1970年代の東映実録路線の一本。
タイトルからわかる通り、題材は『仁義なき戦い』シリーズ(1973〜1974年)と同じ広島ヤクザの抗争で、同シリーズに重要な役割で出演していた小林旭、松方弘樹が主役を務めている。

時代は終戦後間もなかった『仁義』シリーズから製作当時の1976年に移されており、ヤクザの中にカープの赤い帽子をかぶったチンピラがいるのがおかしい。
同シリーズで広島の暴力団連合・天政会の初代会長を演じた小林旭は、神和連合会と名前を変えた北条会長役で、どちらの組織も実在の共政会がモデル。

この神話連合会の事務所の窓からは原爆ドームが見えるので、ちょうど現在のおりづるタワーとほぼ同じ位置に建つビルに暴力団が本拠を構えていることになる。
そこへ久しぶりに訪ねて来るのが、8年の刑期を終えて出所してきた松方弘樹演じる元大西組の大西組長。

という具合に、両雄のキャラと舞台設定はだけはよくできている。
『仁義』シリーズで異彩を放っていた室田日出男、川谷拓三に加え、夏八木勲、地井武男、郷鍈治と脇役陣も豪華版。

しかし、東映ポルノ出身の牧口雄二監督の演出がパンチ不足で、最後まで盛り上がりを欠いた展開に終始。
様々な行き違いから兄弟分だった小林と松方が対決するクライマックスは大いに期待させるが、松方がなかなかの熱演を見せている一方、小林の演技はテンションが低く、少々スベッている印象も拭えない。

オススメ度C。

A=ぜひ!🤗 B=よかったら😉 C=気になったら🤨  D=ヒマだったら😑

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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