『妖怪大戦争』(2005年版/WOWOW)🤨

124分 2005年 松竹

角川映画60周年記念作品として公開された1968年版のリブート映画で、オリジナル版に登場した妖怪の発案者・水木しげるが京極夏彦、荒俣宏、宮部みゆきとプロデュースチーム〈怪〉を結成して制作に関わっている。
オリジナル版へのオマージュとなる妖怪や場面はいくつか見受けられるが、舞台は江戸時代から現代に移されており、まったく別の作品と言ってよい。

主人公・稲生タダシ(神木隆之介)は両親の離婚によって母親に引き取られ、東京から母親の実家・鳥取に移り住んでいる。
転校先でいじめられてばかりいた最中、タダシは夏祭りで「麒麟送子」に選ばれ、送子は世界の平和を守る役割を背負っており、大天狗の棲む山の洞窟へ伝説の聖剣を取りに行かなければならない、といじめっ子たちに教えられる。

弱虫だ、泣き虫だとバカにされていたタダシは意を決して山中に分け入り、そこで猩猩(近藤正臣)、河童の川太郎(阿部サダヲ)、川姫(高橋真唯=岩井堂聖子)ら妖怪とめぐり合って、日本を支配しようとしている怪人・加藤保憲(豊川悦司)の恐るべき陰謀を知る。
加藤は言うまでもなく、荒俣宏原作の『帝都物語』(1988年)で嶋田久作が演じた日本ホラー映画史に残る傑作キャラクターであり、ここまでの設定と筋立てはなかなかよくできている。

しかし、忌野清志郎のぬらりひょん、岡村隆史の小豆洗い、蛍原徹の豆腐小僧、竹中直人の油すまし、石橋蓮司の大首、根岸季衣の砂かけ婆など、様々な有名芸能人が妖怪のコスプレをしてカメオ出演するあたりから、クソ真面目なアドベンチャー映画なのか、ふざけ半分のコメディ映画なのか、作品の性格が曖昧になってくる。
プロデュースチーム〈怪〉の面々や作家・大沢在昌が顔出ししているくだりも、彼らのファンには面白いかもしれないが、映画のストーリーには何の関係もなく、やたらと無駄な寄り道をしているようにしか見えませんでした。

と、ケチをつけつつもニヤニヤしながら最後まで楽しく観たんですけどね、僕自身は。
16年後には同じ三池崇史監督で続編が作られたけど、ヒットしたのかな?

オススメ度C。

ブルーレイ&DVDレンタルお勧め度2022リスト
A=ぜひ!🤗 B=よかったら😉 C=気になったら🤨  D=ヒマだったら😑
※再見、及び旧サイトからの再録

69『妖怪大戦争』(1968年/大映)B
68『妖怪百物語』(1968年/大映)B
67『レミニセンス』(2021年/米)C
66『張込み』(1958年/松竹)B
65『トップガン』(1986年/米)B
64『ゼロの焦点』(1961年/松竹)C
63『ザ・商社』(1980年/NHK)B
62『黒い画集 あるサラリーマンの証言』(1960年/東宝)B
61『地球の静止する日』(1951年/米)C
60『ウエストワールド』(1973年 /米)B
59『スーパーマン&ロイス』シーズン1(12)「たとえ死の谷を歩むとも」(2021年/米)B
58『スーパーマン&ロイス』シーズン1(11)「つかの間の追憶」(2021年/米)A
57『天使と悪魔』(2009年/米)A
56『キングコングの逆襲』(1967年/東宝)B
55『キング・コング』(1933年 /米)A
54『スーパーマン&ロイス』シーズン1(10)「母との再会」(2021年/米)A
53『スーパーマン&ロイス』シーズン1(9)「忠実なサブジェクト」(2021年/米)A
52『TOKYO VICE』#8剣ヶ峰(2022年/WOWOW、HBO Max)C
51『TOKYO VICE』#7不義不徳(2022年/WOWOW、HBO Max)B
50『ライトハウス』(2019年/米)C
49『TOKYO VICE』#6虚々実々(2022年/WOWOW、HBO Max)B
48『TOKYO VICE』#5因果応報(2022年/WOWOW、HBO Max)B
47『スーパーマン&ロイス』シーズン1(8)「無力な自分」(2021年/米)B
46『スーパーマン&ロイス』シーズン1(7)「鋼鉄の男」(2021年/米)B
45『プロミシング・ヤング・ウーマン』(2020年/米)A
44『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』(2018年/米)B
43『クワイエット・プレイス』(2018年/米)A
42『TOKYO VICE』#4虎穴虎子(2022年/WOWOW、HBO Max)B
41『TOKYO VICE』#3精神一到(2022年/WOWOW、HBO Max)C
40『ドニー・ダーコ』(2001年/米)B
39『スーパーマン&ロイス』シーズン1(6)「パワーの代償」(2021年/米)B
38『スーパーマン&ロイス』シーズン1(5)「スモールビルの良心」(2021年/米)B
37『TOKYO VICE』#2起死回生(2022年/WOWOW、HBO Max)B
36『TOKYO VICE』#1新聞記者(2022年/WOWOW、HBO Max)B
35『ふたりのウルトラマン』(2022年/NHK)A
34『スーパーマン&ロイス』シーズン1(4)「波乱の幕開け」(2021年/米)B
33『スーパーマン&ロイス』シーズン1(3)「人気者であることの特権」(2021年/米)B
32『カムバック・トゥ・ハリウッド‼︎』(2020年/米)B
31『すばらしき世界』(2021年/ワーナー・ブラザース)A
30『私は確信する』(2018年/仏、白)C
29『透明人間』(2020年/米)A
28『アナザーラウンド』(2020年/丁、蘭、瑞)A
27『スーパーマン&ロイス』シーズン1(2)「引き継いだもの」(2021年/米)A
26『スーパーマン&ロイス』シーズン1(1)「パワーの目覚め」(2021年/米)A
25『日本女侠伝 侠客芸者』(1969年/東映)A
24『昭和残俠伝 血染の唐獅子』(1967年/東映)B
23『大コメ騒動』(2021年/ラビットハウス)C
22『王の願い ハングルの始まり』(2019年/韓)A
21『フラッシュ・ゴードン』(1980年/米)B
20『タイムマシン』(2002年/米)C
19『アンダーウォーター』(2020年/米)C
18『グリーンランド−地球最後の2日間−』(2020年/米)B
17『潔白』(2020年/韓)B
16『ズーム/見えない参加者』(2020年/英)C
15『アオラレ』(2020年/米)B
14『21ブリッジ』(2019年/米)B
13『ムニュランガボ』(2007年/盧、米)C
12『ミナリ』(2020年/米)A
11『バイプレイヤーズ もしも100人の名脇役が映画を作ったら』(2021年/東宝映像事業部)C
10『死霊の罠』(1988年/ジョイパックフィルム)C
9『劇場版 奥様は、取扱注意』(2021年/東宝)C
8『VHSテープを巻き戻せ!』(2013年/米)A
7『キャノンフィルムズ爆走風雲録』(2014年/以)B
6『ある人質 生還までの398日』(2019年/丁、瑞、諾)A
5『1917 命をかけた伝令』(2020年/英、米)A
4『最後の決闘裁判』(2021年/英、米)B
3『そして誰もいなくなった』(2015年/英)A
2『食われる家族』(2020年/韓)C
1『藁にもすがる獣たち』(2020年/韓)B

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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