最近、巨人の試合前練習の最中、原監督の定位置が変わった。
昨年までは打撃ケージの後ろに立って各選手のバッティングを視察し、自ら助言を送っていることが多かったが、今年はもっぱら一塁側ベンチで手前の広告板に腰掛け、距離を置いて練習を見つめている。
もちろん、時には以前のように個別指導を行うこともあるが、概ねベンチ前に腰を落ち着けたままだ。
きょうは後輩の巨人OB、宮本和友氏や清水隆行氏が解説の仕事で訪ねてきたこともあり、練習中は新たな定位置でニコヤカに談笑していました。
それがどうした、と言われたら、どうしたもこうしたもないんだけれど、何だか妙に気になるのですよ。
原さんも63歳になり、通算勝利数ではすでにV9時代(1965~1973年の9年連続セ・リーグ優勝と日本一)の監督・川上哲治さんを抜いて、巨人史上一番の名将となっている。
それだけの実績を挙げると、チームを見る角度や立ち位置も変わってくるのだろうか。
相変わらず、作戦は用意周到、采配は臨機応変で、今季無敗だった〝令和の怪物〟佐々木朗希を初めて一敗地にまみれさせた昨夜の試合運びも実にお見事。
佐々木は前回登板した阪神戦あたりから序盤で直球がシュート回転し、フォークも高めに抜けて、明らかに調子を落としていた。
きのう、打者のほとんどがバットを短く持ってその真っ直ぐやフォークに食らいついていったのは、原監督が試合前にそういう方針を徹底させていたからにほかならない。
昨年、Number 巨人特集号の仕事で、原監督の下でヘッドコーチを務めた川相昌弘・現ファーム総監督に、原采配の特長についてインタビューした。
川相氏は中日時代、落合監督の下で内野守備走塁コーチ兼一塁コーチを務めた経験もあるので、落合監督との比較論をじっくりと語ってもらいました。
川相氏曰く、一言で言えば、落合監督が「静」なら、原監督は「動」。
僕も原監督本人から聞いたことがあるが、「動かないで後悔するより、動いて失敗しても納得できる野球をする」のが原野球だ。
だから、練習中の定位置が変わっただけでも、何か小さくない意味があるのでは、と考えてしまったわけです。
いや、本当は大した意味はないかもしれないけど。
そんなことをつらつら考えながら見ていたきょうのゲームは、2-1で巨人が逆転勝ち。
きのう佐々木朗から先制タイムリーを打って初めてヒーローインタビューを受けた増田陸が、きょうは同点適時打を打って2日連続お立ち台に上がった。
「オフに育成になってすごい悔しかったので、何とか自分の人生を変えようと思って、がむしゃらにやっていることがいい結果につながってると思います!
また明日に向けてしっかり準備していくので、応援よろしくお願いします!」
いいインタビューでしたね。
なお、川相さんのインタビュー記事に興味のある方はNumber Webで御一読ください!