『キング・コング』(1933年版/WOWOW)🤗

King Kong
104分 モノクロ 1933年 アメリカ=RKO

昨年公開された〈モンスター・バース〉シリーズ第4作『ゴジラvsコング』(2021年)のWOWOW初放送(2022年5月7日)に合わせて放送された元祖版キング・コング。
僕は1976年のディノ・デ・ラウレンティス製作、ジョン・ギラーミン監督版以降、リメイク版はすべて観ているが、1933年のオリジナル版を最初から最後までちゃんと鑑賞したのは今回が初めてでした。

正直なところ、いまから87年も前の映画だから、コングの造形も特撮の技術もさぞかしチャチに違いない、と思っていたのだが、なかなかどうして、ウィリス・オブライエンが手がけたコングの登場場面はスケールが大きく、迫力もたっぷり。
コングの全身はフィギュアをフィルム1コマごとに少しずつ動かすストップモーション・アニメーションで表現する一方、顔や手足がクローズアップとなるくだりでは実物大の小道具、大道具を作ってリアリティを出している。

人間ドラマのシークェンスもしっかり作られており、とくにスカル・アイランド(髑髏島)へ向かう船上で映画監督カール・デナム(ロバート・アームストロング)がにわか女優アン・ダロウ(フェイ・レイ)に絶叫演技をつける場面が面白い。
アイランドのセットも壮大で、原住民たちがコングの侵入を防ぐために作った実物大の扉などは、同時代の日本映画界には到底真似ができなかっただろうと思わせる。

恐ろしい怪物のようでいて、アップになると意外に愛嬌のあるコングの顔とキャラクターは、創始者メリアン・C・クーパーのセンスの良さをうかがわせる。
コングをこういう温かみのある怪物にしたことが、エンパイア・ステート・ビルから落下するラストシーンが独特の哀しさを感じさせ、現代に至るまで延々と続いているリメイクの連鎖につながったのだろう。

製作総指揮は当時の大プロデューサー、名画『風と共に去りぬ』(1939年)などで知られるデヴィッド・O・セルズニック、音楽はその『風と共に去りぬ』、『カサブランカ』(1942年)などを手がけ、アカデミー賞3度の受賞を誇り、ノミネートの常連でもあったマックス・スタイナー。
という具合に、誰もが認める古典的名作なのだから、ひとつだけ不満を言えば、どうせならこういう企画放送用に4Kリマスター版を作ってほしいですね。

オススメ度A。

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A=ぜひ!🤗 B=よかったら😉 C=気になったら🤨  D=ヒマだったら😑
※再見、及び旧サイトからの再録

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スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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