『天使と悪魔』(NHK-BSP)🤗

Angels & Demons
137分 2009年 アメリカ=ソニー・ピクチャーズ

日本でも大ベストセラーとなったダン・ブラウンのミステリー小説〈ロバート・ラングドン〉シリーズの映画化作品第2弾。
原作小説ではこれがシリーズ第1作だったが、映画化されたのは第2作『ダ・ヴィンチ・コード』(2006年)が先だったため、本作では時系列の辻褄合わせのほか、原作とは異なる様々な改変が行われているという。

ローマ教皇が亡くなり、バチカン市国で次期教皇を選出する選挙・コンクラーヴェが行われようとしていた矢先、4人の有力な教皇候補だった枢機卿が誘拐される。
犯人から届いたメッセージには、「今夜8時から1時間置きにひとりずつ公開処刑し、最後にバチカンを破壊する」という趣旨の内容が綴られていた。

一方、スイスのエネルギー研究所でヴィットリア・ヴェトラ博士(アイェレット・ゾラー)が生成に成功した反物質が誘拐犯一味に強奪されており、彼らはこの大爆発を引き起こす反物質でバチカンを滅ぼそうとしているらしい。
バチカンの要請を受けてアメリカから飛んできたラングドン(トム・ハンクス)は、犯行の背後にバチカンと対立する秘密犯罪組織イルミナティの存在があることを察知。

こうしてラングドンは犯人が寄越したメッセージを解読しながら4人の枢機卿を救うため、彼らが拉致された教会をヴェトラとともに駆けずり回ることになる。
象徴学を専門とするラングドン先生の講釈は『ダ・ヴィンチ・コード』と同様、原作でならよくわかるのだろうが、映画の字幕を読みながら理解するのは、正直なところ、いささかしんどい。

しかし、そう生真面目にならず、ラングドンたちが訪ねる数々の教会は歴史的建造物、及び世界的観光名所でもあり、のんびりと〝映画観光〟を楽しむつもりで観れば単純に楽しめる。
中盤の見せ場の舞台となっているサンタ・マリア・デ・ヴィットーリア教会のように、本作のおかげで観光客が大勢訪れるようになったところもあるそうだ。

監督ロン・ハワードの演出は前作『ダ・ヴィンチ・コード』同様、要所要所でパンチを効かせながら、小難しい理屈の多いストーリーをわかりやすく展開し、クライマックスの派手な仕掛けも最後のどんでん返しもバッチリで、満足度は非常に高い。
トム・ハンクスも儲け役のユアン・マクレガーも、このころは若かったねぇ。

オススメ度A。

ブルーレイ&DVDレンタルお勧め度2022リスト
A=ぜひ!🤗 B=よかったら😉 C=気になったら🤨  D=ヒマだったら😑
※再見、及び旧サイトからの再録

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33『スーパーマン&ロイス』シーズン1(3)「人気者であることの特権」(2021年/米)B
32『カムバック・トゥ・ハリウッド‼︎』(2020年/米)B
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27『スーパーマン&ロイス』シーズン1(2)「引き継いだもの」(2021年/米)A
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スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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