リクエスト制度が導入されても、審判の判定を巡るトラブルは後を絶たない。
ロッテで14日に井口監督、15日にレアードが2日連続退場処分を受けた。
どちらもストライク、ボールのジャッジに対する暴言が原因だ。
この問題は非常に根が深い。
私は1990年代、ヤクルト監督だった野村克也さんに、何度もこう聞かされたものである。
「スタンカのあの1球。わしの審判不信はあそこから始まっとるんや」
巨人と南海(現ソフトバンク)が対戦した1961年の日本シリーズ、巨人が2勝1敗で迎えた第4戦のことだ。
南海が3−2とリードした九回2死満塁、投手スタンカが打者宮本敏雄をカウント1−2と追い込むと、捕手野村さんは外角低めのフォークを要求した。
これがドンピシャリと決まり、「終わりや」と野村さんが立ち上がった次の瞬間、円城寺満球審が「ボール」。
野村さんはボールとマスクを足元にたたきつけて詰め寄ったが、判定は覆らない。
この直後、宮本が逆転サヨナラヒットを打って南海が敗れ、怒り心頭のスタンカは円城寺にタックル。
野村さんら選手も審判を蹴ったり突き飛ばしたりの暴行に及んだ。
しかし、亡くなる数年前、ノムさんはこの事件について、思わぬ懺悔を吐露している。
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